2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591306
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
奥村 彰久 Juntendo University, 医学部, 准教授 (60303624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 昌弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40343206)
山本 俊至 東京女子医科大学, 付置研究所, 講師 (20252851)
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Keywords | 脳室周囲白質軟化症 / RNA発現解析 / 臍帯血 / リボゾーム蛋白 |
Research Abstract |
昨年度までの研究結果から、個々のマーカーの検索では脳室周囲白質軟化症(PVL)の病態を明確に示すものを見出すことは容易でないことが明らかになった。そこで、今年度は網羅的な解析を行うため、臍帯血を用いたRNA発現解析を行った。 在胎33週未満の早産児の出生時に、RNAを安定化させる特殊スピッツを用いて臍帯血を採取した。合計61例から臍帯血を収集したが、このうち3例に嚢胞性PVLが発症した。脳波検査の結果からPVLの受傷時期は3例とも出生前と推定された。これら3例と在胎週数や出生前因子が概ね合致する5例の早産児を対照とした。対照児は全例脳波および頭部MRIに異常を認めなかった。臍帯血のリンパ球からRNAを抽出して増幅し、4×44Kのマイクロアレイを用いて全mRNAの発現パターンをPVL児と対照児との間で比較した。その結果、15遺伝子がPVL児で発現が有意に増加していた。このうち5つの遺伝子はリボゾーム蛋白をコードしており、1つは転写伸長因子をコードしていた。また、4遺伝子はその機能は十分明らかになっていないが、免疫反応や炎症との関係が示唆されているものであった、。一方、7遺伝子がPVL児で発現が有意に減少していた。このうち1遺伝子は免疫反応や炎症に関係するもの、2遺伝子は機能は十分に明らかでないが免疫反応や炎症と関係が示唆されるものであった。これらの結果から、PVL児の臍帯血では対照児に比較して蛋白合成が盛んに行われていることが推測される。したがって、PVL児においては何らかの理由でリンパ球の活性化が起きている可能性が示唆された。一方、免疫反応や炎症に関する遺伝子の発現は大きく変化していないことが明らかになった。
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Research Products
(28 results)