2008 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎における知覚神経線維の基底膜侵入メカニズムの解明と治療への応用
Project/Area Number |
20591354
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高森 建二 Juntendo University, 医学部, 特任教授 (40053144)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 光俊 順天堂大学, 医学研究科, 研究員 (50468592)
|
Keywords | アトピー性皮膚炎 / 難治性痒み / 知覚神経線維 / MMP-2 / 基底膜 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎(AD)の痒みは、一般に抗ヒスタミン薬に抵抗性を示す。この原因の1つに、表皮内へ侵入した知覚神経線維が外部刺激によって直接活性化され、痒みが生じることが推定される。しかし、神経線維が表皮内へ侵入するためには、表皮-真皮境界部に位置する基底膜を何らかの方法で通過する必要がある。本研究では細胞外マトリックス(特に基底膜成分)を分解するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)に注目し、神経線維の基底膜侵入におけるMMPsの関与について検討を行った。 我々が考案したユニークなボイデンチャンバーを用いた後根神経節(DRG)細胞培養系により、NGFがDRG細胞に作用することでMMP-2遺伝子の発現が誘導されること、MMP-2蛋白及びその活性が神経線維の成長円錐の細胞膜上に局在することが明らかとなった。一方、神経伸長作用を発揮し、AD皮膚で発現増加するamphiregulinは、DRG神経線維の基底膜侵入を誘導しなかった。これは、amphiregulinのNGFとは異なる神経伸長メカニズムの存在を示唆していた。 以上の結果から、本年度の成果として、NGF誘導性膜結合型MMP-2が微小ドリルとして機能することで基底膜を局所的に分解し、ADにおける神経線維の基底膜侵入を可能にすることが明らかとなった。本研究成果は、表皮内神経線維が関与する難治性痒みの分子メカニズムの一端を明らかにし、新たな難治性痒みの治療法開発に向け、大変意義がある。
|