2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチン依存およびアルコール依存におけるオピオイド神経系の関与
Project/Area Number |
20591376
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岸岡 史郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60137255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 武彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50271010)
木口 倫一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90433341)
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Keywords | ニコチン / アルコール / 身体的依存 / コルチコステロン / 退薬症状 / オピオイド / ナロキソン |
Research Abstract |
嗜好性薬物であるニコチンおよびアルコールは依存を形成するが、その詳細については不明な点が多い。薬理作用の異なる薬物が共に中枢神経興奮様作用を示し、同様に薬物依存を形成することを考慮すると、共通の分子基盤の存在が示唆される。本年度はアルコールおよびニコチンの長期暴露により形成される身体的依存に着目し、病態形成における内因性オピオイドシステムの関与について薬理学的検討を行った。 マウスに空気中濃度(6mg/l)のエタノールを14日間吸入暴露し、アルコール脱水素酵素阻害薬であるピラゾール(1mmol/kg)を1日1回腹腔内に投与した。暴露終了後、オピオイド受容体拮抗薬であるナロキソン(1mg/kg)を投与すると、退薬症状の指標である血清コルチコステロン(SCS)の上昇が認められ、また行動解析においても退薬症状の誘発が確認された。同様に1%エタノールを9日間飲水させたマウスにおいても、ナロキソンの投与によりSCSの上昇が観察された。 一方、ニコチン(3mg/kg)を1日2回9日間マウスに皮下投与し、ナロキソンを投与するとSCSの上昇が認められた。身体的依存形成の強度はニコチンの投与量および投与期間に依存し、またナロキソンの投与量にも依存していた。 本研究において、ニコチンおよびアルコールは長期暴露により身体的依存を形成するが、その分子基盤には共通して内因性オピオイドシステムが重要な役割を担っていることが示唆された。この知見は薬物依存に対する治療および予防に結びつく重要な成果である。
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Research Products
(13 results)