2011 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症におけるミラーニューロンシステムの構造・機能解析と早期補助診断への応用
Project/Area Number |
20591393
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鈴木 道雄 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (40236013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住吉 太幹 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 准教授 (80286062)
中村 主計 富山大学, 大学病院, 助教 (00447658)
倉知 正佳 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 名誉教授 (80019603)
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Keywords | 統合失調症 / 機能的磁気共鳴画像 / ミラーニューロンシステム / 社会脳 / 自己 / 他者 / 自己意識 |
Research Abstract |
統合失調症患者における社会的認知ネットワークを含む神経回路の機能的統合の障害と、その症状や社会性障害の発現への関与を明らかにすることを目的に、これまで行ってきた機能的MRI(fMRI)による検討さらに進めた。 ICD-10による統合失調症患者15名(男8女7;平均年齢27.0±5.3歳)、健常対照者15名(男8女7;27.5±4.3歳)を対象とした。全員が視力は正常、右利きであった。自己と他者に関する評価課題として、人物の性格、能力、行動の特徴を記した文章をスクリーン上に提示し、自己または他者(親しい友人)に当てはまるかどうかを判断させ、ボタン押しをさせた。対照課題はスクリーン上に提示した指示通りにボタン押しをさせた。1.5T Magnetom Vision(Siemens)にてecho-planar imaging(EPI)法によりfMRIを撮像し、SPM8を用いて課題、診断の効果を検討した。統計学的有意水準はボクセルレベルp<0.001(補正なし)、クラスターレベルp<0.05(FWE補正)とした。 自己評価課題および他者評価課題により、統合失調症患者群および健常者群のいずれにおいても、いわゆる社会脳を構成すると考えられる内側前頭前野、下前頭回、上側頭溝領域、頭頂葉後部などを含む脳領域が賦活された。健常者群では、自己評価課題における左側の後部帯状回と海馬傍回の賦活が、他者評価課題におけるより有意に高かったが、患者群では課題間の差はなかった。また自己評価課題における右側の上前頭回と縁状回の賦活が、患者群において健常者群より有意に高かった。これらの所見は統合失調症における自己意識の障害の神経基盤に関係するかもしれない。
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Research Products
(4 results)