2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規MAP3K抑制因子STK38を標的とした放射線増感
Project/Area Number |
20591491
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎本 敦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20323602)
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Keywords | STK38 / リン酸化 / GSK-3 / 酸化ストレス / 増感 |
Research Abstract |
Serine-Threonine Kinase 38 (STK38)は、PKA, PKB, PKCなどが属するAGCファミリーキナーゼの1つである。酵母や線虫におけるSTK38ホモログは、細胞の形態や細胞分裂の制御因子として機能しているが、哺乳類における機能は未解明であった。近年、我々はSTK38がストレス応答型Mitogen-activated protein kinase(MAPK)シグナル経路の1つであるJNKカスケードを負に制御することを見出した。しかしながら、哺乳類細胞におけるSTK38の制御機構についてはほとんど未解明である。我々は、様々なストレスに対するキナーゼ活性を比較し、放射線や過酸化水素などの酸化ストレスにより、STK38キナーゼ活性が上昇することを見出した。この酸化ストレス誘発STK38活性化はWortmanninにより抑制された。またSTK38のノックダウンは、酸化ストレスに対してJNKシグナルの亢進と細胞死の増強を誘発した。次に、PI-3K-AKT経路を構成する種々の因子について特異的阻害剤、遺伝子過剰発現・ノックダウンによるSTK38活性への影響およびin vitroでの生化学的解析によりSTK38活性制御機構を解析した。その結果、GSK-3がSTK38をリン酸化することを突き止め,そのリン酸化部位を複数同定した。そしてそれらのリン酸化部位変異体のSTK38活性を解析し、これらのリン酸化部位が酸化ストレスによるSTK38活性化に重要な制御部位であることを明らかにした。さらにSTK38を標的としたsiRNA導入により、X線、過酸化水素に対するJNK活性化および感受性が増強された。 本研究により、STK38の酸化ストレス活性化メカニズムが解明され、さらにSTK38を標的とした放射線増感が可能なことが示された。
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