2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591534
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
猪口 貞樹 Tokai University, 医学部, 教授 (60160008)
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Keywords | 移植・再生医療 / 培養皮膚 / 抗菌ペプチド / ウイルスベクター / LL37 / hBD3 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒト抗菌ペプチドの一種であるhBD3およびhCAP18/LL37の遺伝子を、組み換えウイルスベクターを用いてヒト皮膚細胞へ導入し、抗菌活性の高い培養皮膚の作製を試みることである。 平成21年度は、LL37標準物質の緑膿菌に対する抗菌活性を確認し、また平成20年度に作製したhCAP18/LL37遺伝子組み換えウイルスベクターの感染によるヒト線維芽細胞への遺伝子導入を試みた。 (1)LL37標準物質の緑膿菌標準株(ATCC9721)および臨床検体より分離した抗生剤多剤耐性緑膿菌株(MDRP)に対する殺菌的抗菌活性を計測した。LL37は緑膿菌標準株およびMDRPに対して強い抗菌活性を示し、抗菌活性は塩濃度に影響され難いことが判明した。 (2)hCAP18/LL37遺伝子組み換えウイルスベクターをヒト培養線維芽細胞に感染させ、導入遺伝子の発現および培養液の抗菌活性を計測した。組み換えウイルスベクター感染ヒト線維芽細胞には、導入されたLL37遺伝子の発現が認められた。また当該遺伝子導入細胞の培養液は緑膿菌標準株に対して弱い抗菌活性を示した。 以上の結果から、LL37は緑膿菌の感染防止に使用可能であること、組み換えウイルスベクターによってヒト皮膚細胞に、hCAP18/LL37遺伝子の導入が可能であることが示された。一方、遺伝子導入細胞培養液の抗菌活性が弱かったため、来年度以降、遺伝子導入細胞からのLL37の分泌を確認し、抗菌活性向上の可能性を検討する。また同時に、hBD3とhCAP18/LL37の遺伝子をタンデムに連結したウイルスベクターを作製する予定である。
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