2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳深部刺激療法の効果発現メカニズム-神経細胞新生の立場から
Project/Area Number |
20591714
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
倉津 純一 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20145296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 基浩 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (20295140)
山田 和慶 熊本大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (00398215)
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Keywords | 脳深部刺激術 / 神経細胞新生 / マクロアレイ / パーキンソン病 / ジストニア / 運動異常症 |
Research Abstract |
中枢神経刺激療法の一つである脳深部刺激術(DBS)は、パーキンソン病、ジストニア、あるいは本態性振戦などの神経疾患に対して有効であることが臨床的に広く認められており、私たちの施設でも日常的に行われている(業績1)。しかしながら、その効果発現メカニズムに関しては不明な点が多く、神経科学の基礎研究分野でも重要なテーマの一つである。本研究課題で私たちは、DBSの効果発現機序に神経新生すなわち神経回路の再編成が関与している可能性を探る。神経新生のマーカーとして、TuJ1、NeuroD、Emx2、Pax6、及びCR-50が有効であることは、すでにマウス脳の免疫染色における予備実験で明らかになった。特に中枢神経の発達期において神経細胞の分化に重要な役割を担う転写因子Pax6は、DBSの標的核である視床下核に近い成体マウスの不確帯で発現していることがこの予備実験で明らかとなり、特に有用な神経新生のマーカーとなり得るのではないかと注目している。また、作用機序解明に関する臨床的なアプローチも行っている。術前の定量的3次元脳画像とDBSの症状改善効果の関連性を研究する中で明らかになったのは、各症例の脳白質量と術後の運動症状改善率との強い相関関係であった。運動回路の各コンポーネントを結ぶ軸索及びその機能を保つミエリンが量的に保たれていることがDBSの効果発現に重要であるということは、刺激療法の効果はその刺激部位局所にとどまらず関連する神経回路全体に波及していることを示唆する結果である(Hamasaki et al., Acta Neurochir 2010, in press)。神経新生の検索は、計画書のとおり運動回路全体を分画して行う必要があろう。ラットにおけるDBSの実験系が確立されつつあり、来年度は細胞レベル及び遺伝子レベルの解析を行う予定である。
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Research Products
(3 results)