2009 Fiscal Year Annual Research Report
変性関節軟骨細胞における小胞体ストレスの発生機序とその病態生理に関する研究
Project/Area Number |
20591784
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
水田 博志 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 教授 (60174025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 隼 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40433007)
仙波 圭 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (00398190)
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Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / ストレス / 糖化最終産物 / 小胞体 |
Research Abstract |
ラット膝関節に糖化最終産物(AGEs)前駆体であるグリコールアルデヒド(GA)あるいはリボース(RB)をそれぞれ3μmol×7日間連続、2μmol×週2回×7週間投与して、以下の解析を行った。 1. 関節軟骨の変性と軟骨細胞機能の評価 GA投与群、RB投与群ともに組織学的に軟骨の変性像は認められなかった。一方、軟骨細胞のII型コラーゲン及びアグリカンのm-RNA発現量はRB投与群では対照群に比べ有意な変化を認めなかったが、GA投与群ではII型コラーゲンm-RNAの発現量が対照群に比べ50%以下と有意に低下した。 2. 軟骨基質及び軟骨細胞のAGEs蓄積の評価 免疫組織学的にはGA投与群、RB投与群のいずれも軟骨のAGEs蓄積に対照群と明らかな差は認めなかった。一方、GA投与後の軟骨ホモジネートのWestern blot法による解析では対照群に比べ30%の有意なAGEs蓄積の増加を認めた。 3. 小胞体ストレスの評価 GA投与群では、活性型XBP1及びCHOPのm-RNA発現はそれぞれ25%、156%増加し、ユビキチン化蛋白の発現頻度も増加した。一方RB投与群では、対照群と比べいずれも有意な増加は認めなかった。 4. 軟骨細胞のアポトーシスの評価 GA投与群ではアポトーシスの頻度は約4.5倍に増加したが、RB投与群では有意な増加はみられなかった。 以上より、ラット膝関節へのGA投与は軟骨細胞に小胞体ストレスを生じ、軟骨細胞の機能障害やアポトーシスを引き起こすことが示されたが、その原因が軟骨細胞内のAGEs蓄積によるものか否かについては更なる検討を要する。
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Research Products
(1 results)