2010 Fiscal Year Annual Research Report
変性関節軟骨細胞における小胞体ストレスの発生機序とその病態生理に関する研究
Project/Area Number |
20591784
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
水田 博志 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (60174025)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 隼 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40433007)
仙波 圭 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (00398190)
|
Keywords | 糖化最終産物 / 小胞体ストレス / アポトーシス |
Research Abstract |
ヒト正常軟骨細胞(正常群)、ヒト変性軟骨(軽度変性群、高度変性群)を培養し、AGEs前駆体であるリボース(RB)あるいはグリコルアルデヒド(GA)で刺激し、以下の解析を行った。 1.細胞内AGEs蓄積:RBまたはGAの刺激は、細胞内にAGEsを蓄積することが免疫組織学的に確認できた。ウエスタンプロット法では、RBとGAの刺激は、無刺激のものと比較して、それぞれ正常群は9.2倍と9.0倍、軽度変性群は2.8倍と3.7倍、高度変性群は2.6倍と6.5倍にAGEsの蓄積を増加した。 2.小胞体ストレスの評価:RT-PCR法による活性型XBP1の遺伝子発現は、RBまたはGAの投与により正常群で6.6倍と5.6倍、軽度変性群で11.9倍と166.9倍、高度変性群で28.1倍と20.9倍に増加した。同様に、CHOP遺伝子とユビキチン化蛋白の発現量もGA刺激では正常群よりも変性群で増大していた。 3.細胞機能の評価:qRT-PPCR法によるII型コラーゲンとアグリカンの遺伝子発現量は、変性度の違いとは関係なく、RBまたはGAの刺激により、全ての群でそれぞれ75-99%と25-87%低下した。 4.アポトーシスの評価:RBまたはGAの刺激により、全ての群でTUNEL陽性細胞率が増加し、GA刺激では変性群において陽性細胞率が高かった。 正常軟骨細胞において、AGEs前駆体により細胞内にAGEsが蓄積し、軟骨細胞の機能障害およびアポトーシスが誘導されたことより、細胞内に蓄積したAGEsが小胞体ストレスを誘発することが示唆された。変性軟骨細胞でも同様な結果が得られたが、正常軟骨細胞と比較してAGEsの蓄積増加は少ないにもかかわらず、小胞体ストレス応答は高かった。このことは変性軟骨細胞において、すでに不全蛋白処理能が低下していること、あるいは他の機序による小胞体ストレス惹起の可能性が示唆された。
|
Research Products
(2 results)