2009 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔ターゲット因子の新規定量解析による麻酔作用機序の考究
Project/Area Number |
20591817
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
関根 秀介 Tokyo Medical University, 医学部, 助教 (10384976)
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Keywords | イソフルラン / セボフルラン / プロポフォール / PKCγ / リン酸化PKCγ |
Research Abstract |
マウス断頭モデルによる実験をおこなった。 吸入麻酔薬の影響を調べるために、マウス断頭モデルにより、本年度は、吸入麻酔薬イソフルレンおよびセボフルレンについて設定した1MAC吸入、2MAC吸入に加え、吸入麻酔薬と静脈麻酔薬の比較のため、プロポフォール200mg/kg腹腔内投与群を設定し、正向反射消失までの時間をPKCγノックアウトマウスとワイルドタイプマウスにて比較した。正向反射消失後マウスを断頭し、脳は-80℃で保存した。大脳皮質を冷凍作業ボックス内で摘出し、以後すべて氷温化にホモジネート、遠心分離を行い、シナプス膜成分(P2)、小胞体などの細胞内小器官とシナプス以外の細胞膜成分(P3)、細胞質成分(S3)に分画後、SDS-PAGEを行い、抗PKCγ抗体、抗リン酸化PKCγ抗体を用いてウェスタンブロットを行った。なお、ウェスタンブロットはレーザー励起式イメージングシステム"オデッセイ^[○!R]"を用いた。抗リン酸化PKCγはP2分画にて有意な増加を認め、正向反射消失までの時間は吸入麻酔の各群ではワイルドタイプに比べノックアウトタイプでは有意に延長した。プロポフォール投与群では正向反射消失までの時間についてワイルドタイプとノックアウトタイプ間に有意差は認められなかった。今回の我々の結果によって、吸入麻酔薬によるPKCγノックアウトマウスでの正向反射消失までの時間の有意な延長はPKCγが吸入麻酔薬の作用発現に影響を与えることを示すものである。また、静脈麻酔薬はPKCγノックアウトマウスでの正向反射消失までの時間にワイルドタイプと比べて有意差を認めなかったことから吸入麻酔薬と静脈麻酔薬の作用発現は異なる可能性が示唆された。さらに、P2分画における抗リン酸化PKCγの有意な増加は、吸入麻酔薬の作用発現機序はPKCγのリン酸化を介する可能性を示唆するものである。
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