2010 Fiscal Year Annual Research Report
再燃前立腺癌におけるエストロゲン受容体を介したシグナル伝達機構の包括的解明
Project/Area Number |
20591852
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小中 弘之 金沢大学, 附属病院, 講師 (40334768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 敦 金沢大学, 附属病院, 講師 (50248580)
京 哲 金沢大学, 医学系, 講師 (50272969)
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Keywords | 前立腺癌 / エストロゲン / ER / リガンド / 転写活性 / シグナル伝達 / NF-κB / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本年度は,前立腺癌におけるERを介したシグナル伝達機構の包括的解明として,20年度からの最後の1年として,以前からのin vitro実験に加えて,1)ERβの強制発現とE2投与による遺伝子治療の可能性,2)SCIDマウスを用いた担癌モデルの作成,3)E2,DES,SERMs投与によるin vivo抗腫瘍効果の実験を計画してERβをターゲットにした遺伝子治療の検討に取り組んだ。 その結果,ERを標的とした遺伝子治療実験については,SCIDマウスを用いた前立腺癌モデル,ERβ発現プラスミドを作製し,ERβ過剰発現させた系とE2投与の有用性が明らかにした。 これは,再燃前立腺癌におけるERの役割並びに臨床的意義について,ERを介したシグナル伝達機構を解明し,エストロゲンによる前立腺癌治療の可能性を再考すると共に,ERを標的としたSERMsあるいは抗エストロゲン剤を用いた分子標的治療あるいは遺伝子治療の可能性が示唆された。また,"前立腺癌においては,ERαが増殖にERβが抑制に関与する"という我々の仮説に基づいて,エストロゲンの前立腺癌に対する(直接的あるいは間接的)抗腫瘍効果を検討し,分子生物学的手法によってそのメカニズムを明らかにする過程で,"エストロゲン療法を再考する"ことは,"故きを温ねて新しきを知る"という視点からも大いに意義深いと考えられる。 今後の課題として,ERβ発現アデノウイルスベクター作製し,そのベクターとE2投与を投与することによる遺伝子治療実験が不可欠であるため,さらに実験を継続する予定である。
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