2009 Fiscal Year Annual Research Report
新たな内分泌治療薬開拓に向けたエストロゲン受容体標的遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
20591936
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇都宮 裕貴 Tohoku University, 病院, 助教 (10359507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 忠夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (40282058)
八重樫 伸生 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00241597)
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Keywords | エストロゲン受容体 / 子宮内膜癌 / クロマチン免疫沈降 |
Research Abstract |
エストロゲンレセプター(ER)αはリガンドであるE同様、子宮内膜癌の増殖・進展に重要な役割を担っている。従来、プロモーター領域に存在するEREという短い配列の受容器にERαが認識されることによって標的遺伝子の転写調節を担う能力が獲得されると考えられていたが、最近になってERαが直接結合する領域は非常に広範囲であることがわかった。 昨年度までに子宮内膜癌細胞株を用いてERαが直接結合する47の標的部位をクロマチン免疫沈降(ChIP)クローニングの手法を用いて同定した。それらの標的遺伝子は、1)従来からEの働きに深く関わると考えられている遺伝子、2)これまで関連の認められなかった遺伝子、3)これまで重要と認識されていなかったイントロン内のERα結合領域、に分類される。1)2)の標的部位のうちEを添加しChIPアッセイを行ったところ、GRIP1・Cathepsin D・MYCおよびPAK7の結合能が有意に上昇した。さらにsiRNAを用いてそれらの標的遺伝子をノックダウンし細胞増殖やアポトーシスを検討したところ、GRIP1ノックダウンによりNonviable cellが有意に増加した。また、生存細胞数が減少した原因は細胞増殖低下ではなくアポトーシスの増加が原因であると推察された。しかし、その他3つの遺伝子に関して有意差は得られなかった。 今後、GRIP1遺伝子の子宮内膜癌における役割を解明するため、ヒト正常子宮内膜およびヒト子宮内膜癌組織を用いてその発現を調べ、予後・臨床進行期・年齢・組織型などの臨床病理学的因子との相関を検討していく。また、3)のこれまで重要と認識されていなかったイントロン内のERα結合領域に関しての検討も行う。そしてこれまでにないERαを介した子宮内膜癌の増殖に関する分子機構を導き出し、新たな内分泌療法の標的遺伝子を特定していく。
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