2010 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症に伴う重症末梢神経炎の発生機序の解明-第X因子阻害薬の保護効果の検討-
Project/Area Number |
20592130
|
Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
日野 博文 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (70308500)
|
Keywords | critical illness polyneur / 敗血症 / 人工呼吸器離脱困難 |
Research Abstract |
当該研究において平成22年度までに遂行された研究結果より、以下の成果が得られた。 成果 1. LPS連続48時間投与後の神経伝導検査では閾値上昇を伴う活動電位の振幅の低下が主であること。 2. この知見はcritical illness polyneuropathyの臨床検査像に極めて近似していること。 2. LPS連続48時間投与後の病理検査(光顕像:LFBB二重染色、HE染色、電顕像)では異常を認めなかったこと。 3. Danaparoid、Antithrombin IIIの投与は、血流速度の改善のみならず、振幅低下に対して改善効果を示したこと。 本研究の目的は、critical illness polyneuropathyの成因を調査すること、LPS48時間投与モデルにおいて抗凝固薬であるdanaparoidおよびantithrombin IIIの抗炎症効果、具体的には神経血流改善効果および神経機能における改善効果を調査することである。 critical illness polyneuropathyは現在もなお、その発症機序が不明である。これらの成果を通じて、critical illness polyneuropathyの初期段階の成因に従来まで血流低下から生じる変性が深く関わっているのではなく、活動電位の閾値の変化が関わっている可能性が導き出されたことは非常に重要な意義を持つ。よって成因解明における本研究の意義は十分達成されたと考えられる。また、近年、凝固と炎症が深く関わっていることが示唆されているが本研究の成果はその概念を支持すると同時にcritical illness polyneuropathyにおける新しい治療方法の可能性を提示すると考えられる。
|