2010 Fiscal Year Annual Research Report
P.gingivalisの菌株間の多様性における転移因子の役割解析
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20592142
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
内藤 真理子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20244072)
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Keywords | 微生物学 / ゲノム / 口腔細菌学 / 転移性遺伝子 |
Research Abstract |
転移性遺伝子、CTnPg1は口腔内嫌気性細菌であるP. gingivalisで最初に認められた完全な構造をもつCTnである。昨年までの研究で、CTnPg1がP. gingivalis菌株間、また他の菌、腸内細菌Bacteroidesと口腔内細菌Prevotellaへ転移することを初めて明らかにした。CTnPg1はこれまでに解析されている他菌のCTnとは違いrecipient側のrecA遺伝子に依存することから、CTnPg1は新規のCTnであることが示唆された。そこで本年度は、公開されているすべてのゲノム配列に対するhomology検索によりCTnPg1に類似のCTnが他の菌にも存在するか検討した。NCBIとHuman Microbiome Databseに公開されているすべてのゲノム配列に対するhomology検索によりCTnPg1に類似のCTnがP.gingivalisの近縁の口腔内嫌気性菌、Porphyromonas endodontitis、Prevotella buccae、Prevotella intermediaに見出された。これらのCTnPg1類似CTnにおいてCTn伝達に関わる遺伝子、integrase遺伝子,tra遺伝子mob遺伝子は高度に保存されていた。またそれぞれの両端にはCTnPg1で決定したatt配列(TTTTCNNNNAAAA)がCTnPg1と同様に認められた。これらの結果はCTnPg1およびその類似CTnがヒトの口腔および腸内に存在する嫌気性菌の間に広く分布し遺伝子の水平伝播に寄与していることを示唆するものである。またこの事は歯周病原菌が遺伝子情報のやり取りを通じて多様性と口腔内環境への適応性を獲得していることを示唆するものである。
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