2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性バイオフィルム形成因子の分子生物学的解析と機能性タンパク質による抑制
Project/Area Number |
20592150
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
加藤 哲男 Tokyo Dental College, 歯学部, 准教授 (00159253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
君塚 隆太 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90287178)
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Keywords | 細菌 / 歯学 / 歯周病 / バイオフィルム / 機能性タンパク質 |
Research Abstract |
ガレクチンは、多彩な機能をもつレクチンであり、生体防御にもかかわっている。本年度は、バイオフィルムを形成する歯周病原細菌Aggregatibacter actinomycetemcomitans LPSのヒト培養細胞からの炎症性サイトカイン誘導能に対するガレクチン-3の抑制効果について検討した。また生活習慣病の病因としてのアルコールおよびニコチンのガレクチン-3産生への影響も検討した。 ヒト正常臍帯静脈血管内皮細胞あるいはヒト正常大動脈内皮細胞の培養液にA.actinomycetemcomitans Y4株から精製したLPS(10ng/ml)単独あるいはLPSとヒトガレクチン-3(10μg/ml)を同時に加え細胞を培養し、17時間後の培養上清中のIL-6およびIL-8量をELISAキットで測定した。また培養液にエタノール(0.01-0.1%)あるいはニコチン(1.25-125μg/well)を加え、産生されるガレクチン-3量をELISAキットで測定した。さらにエタノール添加細胞におけるLPS刺激によるIL-6産生について検討した。A.actinomycetemcomitans LPS刺激によるサイトカイン産生誘導はガレクチン-3によって抑制された。エタノールは濃度依存的にガレクチン-3産生量を増加させるとともに、LPSによるサイトカイン産生誘導を抑制した。エタノールによるサイトカイン産生の抑制は、抗-ヒトガレクチン-3抗体を加えることによってみられなくなった。ニコチンは、用いた細胞からのガレクチン-3産生には影響しなかった。ガレクチン-3は、A.actinomycetemcomitans LPSに結合し、その炎症性サイトカイン誘導活性を抑制するものと思われる。またエタノールは、内皮細胞からのガレクチン-3産生を促進し、そのためLPSの炎症性サイトカイン誘導が抑制されることが示唆された。
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Research Products
(7 results)