2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性バイオフィルム形成因子の分子生物学的解析と機能性タンパク質による抑制
Project/Area Number |
20592150
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
加藤 哲男 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00159253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
君塚 隆太 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90287178)
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Keywords | 細菌 / 歯学 / 歯周病 / バイオフィルム / 機能性タンパク質 |
Research Abstract |
シスタチンは、動物の体液などに存在するシステインプロテアーゼインヒビターであり、骨吸収や組織の炎症などを調節したり、癌細胞の浸潤と転移を抑制したりすることが知られている。本研究では、唾液に含まれるシスタチンSAの歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisおよびAggregatibacter actinomycetemcomitans増殖に対する抑制効果について検討した。P.gingivalis5株およびA.actinomycetemcomitans5株を、それぞれヘミンおよびメナジオンあるいはyeast extractを含むTrypticase soy brothを用いて24時間嫌気条件下で前培養した。発育菌体を5等分し、それぞれに新しい培地を加えた。そのうちの4本にシスタチンSA1あるいはシスタチンSA2を1.0μg/ml、10μg/mlずつ加え、1本はコントロールとした。その後嫌気培養を続け、増殖の状態をATP活性によって確認し、24時間後の増殖菌量を660nmの吸光度測定により調べた。同様の実験を5回くり返し、その平均で評価した。シスタチンSA1およびSA2とも、1.0μg/mlでは供試菌の増殖に対して顕著な影響を与えなかった。しかし10μg/mlでは、供試したA.actinomycetemcomitans全菌株に対して、またP.gingivalis3株に対して増殖抑制効果を示した。本抑制効果は、シスタチンSA1の方がSA2よりも強かった。供試した両シスタチンともP.gingivalisおよびA.actinomycetemcomitans増殖に対して抑制効果を示した。以上の結果から、唾液中に存在する機能性タンパク質シスタチンは歯周病原細菌に対して増殖直制を示し防御的にはたらくことが明らかになった。
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