2010 Fiscal Year Self-evaluation Report
Comparative amelogenesis and enamel structure between living and extinct mammals
Project/Area Number |
20592154
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Morphological basic dentistry
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
SUZUKI Kunihiro Nihon University, 松戸歯学部, 教授 (30256903)
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Project Period (FY) |
2008 – 2011
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Keywords | エナメル質 / エナメル質形成 / 歯の発生 / 哺乳類 / 有袋類 / 束柱目 / サイ目 / 系統発生 |
Research Abstract |
(1)歯が機能し咀嚼器官の一つとして働くためには外部形態とともに硬組織の構造が重要となる。各種の動物の歯はその形態に様々な特徴を有するが、歯の形態形成は一連の遺伝子や各種の成長因子などの段階的発現による上皮‐間葉相互作用を基本として、最終的な歯の形態が確定される。この間に歯の形成細胞(エナメル芽細胞、象牙芽細胞、セメント芽細胞)が分化し、その配列が決まり、形成の細胞運動(動き)が生じる。これらの現象が複雑に関係して、硬組織中に様々な組織構造が構築されるものと考えられる。さらに系統発生学的に考えると、硬組織中の組織構造は環境的要因や食性の影響を受けながら、われわれヒトに観察されるような形態や硬組織構造へと時間的な変遷を経て引き継がれている。 (2)エナメル質はエナメル芽細胞の活動が記録された生体物質であり,エナメル芽細胞および形成細胞群としての歯胚の動態と変化過程を個体発生的,系統発生的に捉えることができる。本研究では現生哺乳類の歯胚の形成からエナメル質の形成までを個体発生的に検索する方向と,化石哺乳類も含めて完成したエナメル質の構造からエナメル芽細胞の動態を追跡し系統発生的に比較する方向の2つがある。 (3)研究対象は特殊な組織構造を持つ動物種として化石哺乳類の束柱目であり,もうひとつは縦型のシュレーゲル条を持つと考えられるサイの仲間である。束柱目のエナメル質の研究はその特異な外部形態と組織構造との関連を調べるには格好の材料と考えられ,主に成長線の精査をもとに論じてきた。サイ類は縦型シュレーゲル条と呼ばれる独特な構造を形成するが,そのエナメル芽細胞の動態をモデル化し構造の表現としてのシュレーゲル条と形成の本体であるエナメル芽細胞の関係を明らかにすることを目指している。さらに,縦型シュレーゲル条の系統発生的な推移を考察することも視野に入れている。もう一つ,哺乳類のエナメル質形成の起源に迫ることを目的として有袋類のオポッサムに焦点を当て,胎生期からの歯の形成過程を三次元的に構築するために飼育・繁殖を含めて研究対象としている。これらの成果をふまえて,哺乳類エナメル質の組織構造形成の系統発生的な全体像を捉えることが期待される。
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Research Products
(8 results)