2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性腫瘍の組織型発現の決定因子に関する分子病理学的研究
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20592208
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
武田 泰典 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (60137536)
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Keywords | 病理学 / 歯原性腫瘍 / エナメル上皮腫 / 石灰化上皮性歯原性腫瘍 / 発現タンパク / 石灰化嚢胞性歯原性腫瘍 / 株化細胞 |
Research Abstract |
(1) エナメル基質産生性上皮性腫瘍における上皮一間葉間の動態:石灰化上皮性歯原性腫瘍の実質細胞から産生されるアミロイド様物はエナメル基質タンパクと考えられている。しかし、エナメル基質は間葉系組織に誘導されるものであり、上皮性腫瘍におけるエナメル基質タンパクの消長に関する知見は乏しい。そこで、石灰化上皮性歯原性腫瘍における基底膜構成タンパクならびに細胞間結合タンパクの発現を検討した。その結果、アミロイド様物の形成が上皮間から間葉におよびはじめると、基底膜構成タンパクの一つであるlaminin5が次第に消失し、アミロイド様塊が間葉部分と接する範囲が増すに従って、腫瘍実質基底面に再びlaminin5が発現していた。また、type IV collagenはアミロイド様物と関係なしに、不規則に腫瘍実質内に深く侵入していた。一方、細胞結合タンパクであるE-cadherinは上皮細胞間全てではなく、不規則に上皮細胞間に発現していた。これら基底膜構成タンパクと細胞結合タンパクの発現の意義について考察中である。 (2) エナメル上皮腫培養株における発現タンパクに関する研究:私の主宰する分野でエナメル上皮腫由来初代培養細胞にTERT遺伝子を導入して、エナメル上皮腫由束不死化細胞の樹立を試みており、そのなかから分離された3株(30代継代)の性状を解析した。いずれの細胞株もケラチン14、ケラチン18を発現し、単層上皮の性状を示し、amelbblastinを発現を確認した。 (3) 歯原性腫瘍の臨床動態に関する研究:特殊な画像所見を呈する石灰化嚢胞性歯原性腫瘍の診断、ならびに類腱型エナメル上皮腫の治療について、臨床担当医と検討し、論文としてまとめた。
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