2010 Fiscal Year Annual Research Report
根面齲蝕の病態・病因の解析に基づく新しい診断法と治療法の開発
Project/Area Number |
20592229
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松尾 敬志 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30173800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 和美 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90214121)
中江 英明 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30227730)
菅 俊行 徳島大学, 病院, 講師 (60243713)
細川 義隆 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90346601)
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Keywords | 根面齲蝕 / ミュータンス菌 / 再石灰化 / 歯髄炎 / カテキン |
Research Abstract |
歯科治療の進歩に伴い高齢者の残存歯数は増加したが、反面、歯根面の露出が高頻度に見られるようになり、根面齲蝕が問題となってきた。今回、根面齲蝕の病態を解析すると共にその新しい治療法を検索した。すなわち、根面齲蝕に関与するS.mutansの病原性を検討し、また、齲蝕象牙質再石灰化のための新しい歯質再石灰化法を検討した。さらに、初期歯髄炎における病態を解析すると共に、その治療法として抗炎症作用のあるカテキンの有用性を検討した。その結果、以下に示す成果を得た。 (1)S.mutansの糖代謝に関与するscrA遺伝子および耐酸性機構に関与するhtrA遺伝子の改変株は付着因子の発現が低下しており、またグルカン合成量も低下していた。さらに、htrA遺伝子改変株では、象牙細管への侵入率が有意に低下しており、これらの遺伝子が齲蝕病原性に強く関与していることが示された。 (2)ヒト抜去歯から作成した象牙質プレートにフッ化ジアンミンシリケートを作用させたところ、象牙細管を緊密に封鎖した。さらに、濃度依存的にカルシウム/リン比が上昇し、高濃度の場合、結晶中に占めるフッ化カルシウムの量が上昇することが明らかとなった。さらに新規材料のアンモニウムヘクサフルオロシリケートにおいても同様の結果が得られた。 (3)ヒト歯髄細胞にはTLR2,NOD1およびNOD2が発現しており、さらにNOD2は歯髄組織切片において免疫組織学的にも検出された。ヒト歯髄培養細胞をこれらのリガンドおよびS.mutansで刺激すると、IL-8やIL-6、MCP-1などの炎症性サイトカインを産生した。これらの炎症性サイトカインの産生は歯髄細胞をカテキン処理することにより抑制され、カテキンが歯髄炎の治療薬として有用であることが示された。
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Research Products
(4 results)