Research Abstract |
平成20年度の研究目的は,無症状健常者ならびに顎関節内障患者を対象に貼付型ブラキシズム検出装置を用いて重度ブラキシズム群を抽出することである. そのため,一定の期間に,岡山大学医学部・歯学部附属病院・顎関節症・口腔顔面痛み外来を初診受診した連続患者サンプルのうち,包含基準を満たした連続サンプルを対象とした.さらに,比較群として,同時期に補綴科(クラウンブリッジ)を受診した連続患者サンプルも併せて対象とした.これら被検者の内,インフォームドコンセントを行い,同意の得られた全ての連続患者サンプルを研究参加者としてプールした. 被検者には,貼付型ブラキシズム測定装置を2個手渡し,自宅で2日間連続して就寝時ブラキシズムの測定を行わせた.郵送にて回収した後,各個人のブラキシズムイベント数を定量化し,初診時の問診データならびに臨床データ(初診時開口量,疼痛の程度)と同様にデータベースに入力した.その結果,被検者集積期間中に本院補綴科ならびに顎関節外来を受診した初診患者は285名であり,包含基準を満たした目的被検者は71名(男性21名,女性50名,平均年齢43.6歳)であった.これらの中から,バイトストリップの未返送6名ならびに2日間ともスコアが得られなかった1名を除外した結果,最終被検者は64名となった(補綴科患者:男性8名/女性21名,顎関節外来患者:男性10名/女性25名). 内訳は,補綴科はスコア1.5とスコア3を示す者が多く,ブラキシズムレベルにはばらつきが認められた.一方,顎関節外来のブラキシズムレベルは,スコア2.5,スコア3を示した被検者が全体の約7割弱であり,ブラキシズムレベルが高い被検者が比較的多く観察された.今後は今回検討しきれなかった残存歯数や咬合様式といった交絡要因をマッチングや多変量解析により考慮すると共に,予後との関連についても並行して行う予定である.
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