Research Abstract |
無症状健常者ならびに顎関節内障患者を対象に貼付型ブラキシズム検出装置を用いたブラキシズムレベルの検討の解析を行った.対象は,平成19年10月17日から平成20年3月19日の期間に,岡山大学病院・顎関節症・口腔顔面痛み外来ならびに補綴科(クラウンブリッジ)を初診受診し包含基準を満たした連続サンプルである.被検者には,貼付型ブラキシズム測定装置を2個手渡し,自宅で2日間連続して就寝時ブラキシズムの測定を行わせ,各個人のブラキシズムイベント数を定量化した。その結果,包含基準を満たした目的被検者は71名,最終被検者は64名となった.内訳は,補綴科はブラキシズムレベルにはばらつきが認められた。一方,顎関節外来のブラキシズムレベルは,スコア2.5,スコア3といったブラキシズムレベルが高い被検者が多く観察された. 若年者を対象としたブラキシズム調査の追跡調査を行った.同年の岡山県立一宮高校1年時生全員のうち,ブラキシズム頻度検査ならびに咀嚼筋の圧痛診査を受けた195名を対象に顎顔面筋の圧痛の追跡調査を行った.診査は,十分な圧痛検査の信頼性(κ=0.59)が保証された2名の検者が咀嚼筋の圧痛診査を行った.被検者は,平成17年,19年の圧痛診査より以下の4群(筋痛継続,筋痛消失,筋痛発症,無症状継続)に分けた.これら4群から筋の圧痛発症,圧痛継続に対してブラキシズム頻度を含む各種の予測因子の相対危険度を算出した.その結果,76名を最終被検者とした.これら被検者の圧痛の変動に関して多変量解析を行った結果,性差(女性),一回目診査時の重症度(自覚的,他覚的),ストレスレベルの自覚が有意なリスク因子となった.(相対危険度:0.24,0.26,-0.65,0.65;95%信頼区間:0.03-0.45,0.04-0・49,-0.86--0.44,0.02-1.23). 同時に,有志被検者より得た末梢血液中からgenomic DNAを抽出し,セロトニントランスポーターの転写調節部位にある5-HTTLPR遺伝子多型,すなわち転写活性が高い1型と低いs型の多型の検出を行い,その手技の確立に成功した.
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