2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592311
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
矢島 安朝 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10183667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 太一 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80312015)
古谷 義隆 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (80385179)
本間 慎也 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (70408334)
佐々木 穂高 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (50433959)
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Keywords | 歯学 / インプラント / 癌 / 発癌率 / 口腔粘膜 |
Research Abstract |
インプラント周囲粘膜は常に慢性炎症の状態である為、常に活発な細胞分裂を繰り返すことで遺伝子の変異が蓄積しやすい状態であることから発癌との関連性が示唆される。本実験は「インプラント周囲上皮口腔粘膜は癌化しやすい」という仮説のもと、4-Nitoroquinoline 1-Oxide(4NQO)による口腔癌の自然発癌モデルラットを使用した実験モデルを考案した。自然発癌モデルラットを使用した実験モデルを考案し、統計学的・分子生物学的に比較検討することで、インプラント周囲口腔粘膜と癌化における相関性を明らかにすることを目的としている。 実験群は6週齢ラットの口蓋正中部にインプラント(φ1.3mm×6mm)を埋入し、埋入を行わない対象群とともに、7週齢より4NQO(50ppm)を飲料水として約5ヶ月投与した。経時的に麻酔下にて口蓋の肉眼的観察を行ない、22週で屠殺後、標本作製を行なった。4NQO投与14週例より実験群・対象群ともに口蓋正中、後方部に角化の亢進を思わせる白色調を示し始め、そのうち実験群の1例(1/5)では後方インプラント周囲上皮部でびらん型を呈していた。18週例では両群ともに過角化を示す割合は増加し、実験群では3例(3/5)、対象群の2例(2/6)、過角化に伴う白色病変もしくはびらん型の病巣を認めた。22週後では、実験群では全例(5/5)がびらん型を呈し、一部でインプラント周囲粘膜と連続性が認められた。一方、対象群においては、半数(3/6)に過角化が認められた。これらの結果より、インプラント周囲上皮は口腔粘膜上皮と比較して早期に発癌を惹起する可能性が示唆された。 今後は採取した資料を用いて、病理組織学的検討による腫瘍細胞の浸潤傾向、細胞異型の比較や分子生物学的検討による発癌遺伝子の発現レベルの比較を行なっていき、インプラント周囲粘膜と癌化との関連性をさらに追及していく予定である。
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Research Products
(11 results)