2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍壊死因子とアクアポリン5を分子標的としたシェーグレン症候群の新規治療法の開発
Project/Area Number |
20592337
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
茂木 勝美 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 雅之 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (20144983)
玉谷 哲也 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30274236)
内田 大亮 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335798)
藤澤 健司 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40228979)
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Keywords | アクアポリン / シェーグレン症候群 / 腫瘍壊死因子 / 唾液分泌 |
Research Abstract |
アクアポリン(AQP)は水輸送に関与する膜蛋白であり、唾液腺からの唾液分泌にAQP5が重要な役割を果たしている。シェーグレン症候群(SS)患者の唾液腺組織においてはAQP5の発現低下が報告されている。また、SS患者の唾液腺組織においては、腺房構造周囲に炎症性細胞浸潤が認められ、唾液分泌低下に炎症性細胞から産生されるTNF-αなどのサイトカインが深く関与している可能性が示唆されている。そこで本研究においては、ヒト唾液腺腺房細胞を用いてTNF-αがAQP5の発現にどのような影響を及ぼすか解析した。 腺房細胞をTNF-αにて処理すると、AQP5の発現は有意に低下した。昨年度はTNF-αによるAQP5の発現低下のメカニズムの解析を行ったが、DNAメチル化やNF-κBを介した経路以外のメカニズムが関与している可能性を示したが、詳細なメカニズムの解明には到達しなかった。本年度は、それ以外の経路について検討を行った。まず、TNF-αによって活性化されるMAPKを介したシグナル伝達経路の解析を行った。各種MAPK(p38, JNK, ERK)の阻害剤を用いて細胞を処理し、MAPKのシグナル伝達を阻害したが、TNF-αによるAQP5 mRNAおよび蛋白レベルでの発現低下は抑制できなかった。AQP5の発現は転写因子Sp1を介して調節されていることが明らかになっていることから、Sp1に関連した転写調節因子の解析を行った。DNAマイクロアレイによる解析の結果、Sp1の転写を促進するNCoAの発現抑制とSp1の転写を抑制するNCoRの発現上昇が確認された。以上の結果から、TNF-αによるAQP5の発現低下には、この2つの因子が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)