2009 Fiscal Year Annual Research Report
看護師を対象とした「共感的患者理解のための視点取得教育プログラム」の開発
Project/Area Number |
20592479
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
林 智子 Gunma University, 医学部, 講師 (70324514)
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Keywords | 視点取得 / 傾聴 / 患者の発言の再生 / 患者の発言の解釈 |
Research Abstract |
今回の研究は、患者と看護師が登場する仮想の場面を使い、その場面での看講師の思考傾向や患者心理の理解方法の違いを踏まえた視点取得教育プログラムを開発するためのプログラム内容の内容的妥当性の評価をなることである。 今回は看護師を対象とする調査の前段階として、看護系大学生を対象に、糖尿病で食事療法をしている患者と看護師の関わりの場面を提示し、学生が患者の発言をどの程度正確に再生し、どのように解釈をするのかを検討した。対象は看護系大学1年生で、調査に同意の得られた47名(回収率58.8%)であった。調査内容は、糖尿病で食事療法をしている患者とその受持ち看護師が登場する模擬看護場面の映像を刺激とし、見終わった後、患者と看護師のやりとりを再構成するように求めた。さらに、患者の発言をどのように解釈したかの記入も求めた。分析方法は、記述内容を内容分析の方法を参考にしてカテゴリー化し、度数を求めた。 看護師の「○○さん、おやつはダメですよ」に続く映像での患者の発言は「なんでダメなんだ。自分の金で買っているんだぞ」であった。その部分の患者の発言の再生の正確さと解釈を分析した。その結果、正確に再生できていたのは4名、語順は違うが内容は再生できていたのは3名で、合わせて7名(14.9%)がほぼ正確に再生できていた。また、「何でダメなんだ」のみを再生していたのは4名(8.5%)、「自分の金で買っているんだぞ」のみは22名(46.8%)、別の内容を再生していたのは14名(29.8%)であった。「自分の金で買っているんだぞ」という発言の再生が多いことから、印象の強い言葉であると考えられる。次に、解釈が書かれていた22名の患者の言葉の解釈を分析した。その結果、《患者の辛い気持ちを推測》が9名(40.9%)、《開き直り》が6名(27.3%)、《患者の言うとおり》が3名(13.6%)《お金の問題じゃない》が3名(13.6%)、《別のことの解釈》1名(4.5%)であった。《患者の辛い気持ちを推測》という患者の心情の推測に至った学生が多くみられたが、《患者の言うとおり》《お金の問題じゃない》のように言葉通りの意味で解釈した学生もおり、患者の発言を傾聴する学習の必要性が示唆された結果であった。
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Research Products
(1 results)