Research Abstract |
今年度は,看護学生および卒後1~2年目の看護師・助産師を対象として,複数判断基準活用のための演習・研修を次のように実施した。 1.看護学生に対する演習 (1)1年次・2年次・3年次の講義および演習では,既習の専門基礎科目のルールを演習で積極的に活用させるため事前課題を作成,演習中にルールを確認させ,さらに演習の内容を記録に残させ,小グループでのディスカッションを実施した。 (2)3年次に開始される看護学実習において,受け持ち事例の症状や患者の反応を,専門基礎科目,基礎看護学の講義で獲得された知識を使って整理させ,問題の分析と解決法について整理させた。 (4)4年次の各領域の看護学実習において,ルールを受け持ち患者に適用し,現在の状況から患者の未来を推測させ,看護計画に取り入れさせた。さらに複数の計画について,毎日のプランにおける看護の優先度の決定を行なわせた。また,卒業研究では,類似する研究を比較させ,ルールと適用範囲について確認させた。 2.卒後1~2年目の看護師・助産師に対する研修 科学研究費補助金 基盤研究C 研究課題番号:17592228の成果に基づいた,タスクマネージメントのための卒後研修用テキストを用いて,看護の優先度決定に関する思考トレーニングを行なった。今年度は卒後1年目研修において,プリセプター(各病棟の1年目指導担当者)にグループワークにおける運営とアドバイスを実施させた。 ・実施日:卒後1年目研修 平成21年5月20日,10月21日,平成22年2月17日 対象35名 卒後2年目研修 平成20年6月9日,平成22年2月15日 対象66名 ・結果 ワークシートの記述内容および感想によると,自己の判断基準に気づき,さらに他者の基準を知ることにより,判断基準が拡大したという記述がみられ,研修の目的は達成されたと推測される。卒後1年目研修では,プリセプターのグループワーク運営や,ディスカッション時のアドバイスが効果的であったことが,記録より確認された。プリセプターにとっては,卒後1年目の思考の様子が確認でき,職場での課題も明らかになったことが記録より確認された。ワークシートの効果的な時間配分について,今後さらなる改善を目指す。
|