2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中急性期における誤嚥性肺炎予防に関する基礎的研究
Project/Area Number |
20592556
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Research Institution | Aichi Prefectural College of Nursing & Health |
Principal Investigator |
鎌倉 やよい Aichi Prefectural College of Nursing & Health, 看護学部, 教授 (00177560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深田 順子 愛知県立看護大学, 看護学部, 准教授 (60238441)
米田 雅彦 愛知県立看護大学, 看護学部, 教授 (80201086)
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Keywords | 脳卒中 / 誤嚥性肺炎 / 唾液中sIgA / 嚥下障害 / 不顕性誤嚥 / 急性期看護 |
Research Abstract |
脳卒中急性期患者は口腔内の細菌が増殖しやすく、唾液の不顕性誤嚥により肺炎発症のリスクは高い。本研究では、脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)発症後に保存的治療を受ける第5病日の患者14名(平均年齢79.5±9.0歳)を対象として、口腔内の免疫能を司る唾液中sIgA(分泌型免疫グロブリンA)の分泌推移を明らかにし、誤嚥性肺炎との関係を検討した。第13病日まで隔日の10・14・18時に唾液を採取し、 ELISA法によって唾液中sIgA濃度を測定した。分析は、対象者を非肺炎群6名、肺炎群8名に分類し、唾液中sIgA濃度、唾液量、年齢、性、意識レベル、嚥下障害、栄養補給方法、嘔吐について比較した。 肺炎群の肺炎発症時期は第2〜6病日であり、非肺炎群に比較して意識レベル(第5病日)が有意に低く、栄養補給方法では経管栄養の選択が有意に多かった(χ^2検定;p<0.05)。年齢、性、嚥下障害、嘔吐では、両群に差を認めなかった。次に、唾液中sIgA濃度(μg/ml)と採取された唾液量の相関はrs=-0.485であった。肺炎群は非肺炎群より有意に唾液量が少なかった(3元配置分散分析;p<0.01)。唾液中sIgA濃度に採取唾液量を乗じた唾液中sIgA量は肺炎群が有意に多かった(3元配置分散分析; p<0.01)。これらの結果より、採取された唾液量は口腔内全体の乾燥状態を反映するため、唾液中sIgA濃度を唾液量で除して“唾液中sIgA・乾燥度"として指標化した。この唾液中sIgA・乾燥度は肺炎群において分泌推移が乱れ、非肺炎群より有意に高かった(3元配置分散分析;p<0.01)。 肺炎群は、非肺炎群より唾液量が減少した環境で唾液中sIgA量が増加しており、肺炎の発症はsIgAの分泌増加と関係していることが示唆された。
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