2009 Fiscal Year Annual Research Report
心臓手術後に水分制限をうける学童への「飲みたい時に飲む」ケアのガイドライン開発
Project/Area Number |
20592616
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
松尾 ひとみ University of Shizuoka,Shizuoka College, 教授 (20305668)
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Keywords | 小児看護 / 水分制限 / 先天性心疾患 / 心臓外科手術 |
Research Abstract |
心臓手術後に行う水分制限(飲水量の規制)が、こどもに及ぼす影響を明らかにする目的で研究を実施し、今年度は飲水量の規制という心理的抑圧が及ぼすこどもの飲水への反応を明らかにした。水分制限のある施設とない施設の心臓外科手術後のこども計9名に対しインタビューを行い、比較分析した。その結果、まだカテゴリー化は出来ない段階だが、仮説となる得る下記の傾向が明らかになった。 (1)水分制限のあるこどもは、目的意識を実感し、コントロール力を発揮しやすい可能性がある (2)水分制限がないと、口喝の知覚が不確かになる可能性ある。 こどもの心不全症状や全身状態に著明な差はなかったが、やや重症者は身体の苦痛から飲水量が少ない傾向にあった。水分制限の有無とこどもの飲水量を比較すると、飲水制限のあるこどもの方が飲水している傾向にあった。水分制限がないこどもは、自由に飲水できるが、看護師に依頼して飲水するシステムであるため、多忙な看護師への気兼ねが飲水を左右する傾向にあった。前年度の科研で得た、水分制限のあるこどもから抽出された<飲みたいけど我慢する>というカテゴリーは、水分制限のないこどもからも抽出される可能性があるが、以下のような内容の違いがあると想定される。水分制限のあるこどもは、医療者から「飲むと悪いことがおこる」という潜在下のメッセージを感じ、「大切に飲む」と規制内での飲水で口渇をやり過ごしていた。しかし、水分制限のないこどもは「水は病院のもので自分のものではない」という思いがあり、「勝手に飲めない」と対処になり、飲水量が少なかった。また、水分制限のないこどもは口渇を感じていてもガマンする傾向があり、ガマンしていると口渇の知覚が薄れていく傾向があった。よって、こどもの飲水量は水分制限による口渇のみではなく、飲水方法のシステムによる違いが影響することが判明した。
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Research Products
(1 results)