2010 Fiscal Year Annual Research Report
心臓手術後に水分制限をうける学童への「飲みたい時に飲む」ケアのガイドライン開発
Project/Area Number |
20592616
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
松尾 ひとみ 静岡県立大学, 短期大学部, 教授 (20305668)
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Keywords | 水分制限 / 心臓外科手術 / 学童期 / 小児看護 / 先天性心疾患 / 口渇 / グランデッドセオリー / ケア |
Research Abstract |
水分制限のない学童と、水分制限をうけた学童の体験の違いにより、水分制限という心理的抑圧が学童に及ぼす影響を明確にし、学童が適正に飲水できるための支援を検討する目的で研究を継続している。平成20~22年は、心臓外科術後に水分制限を受けなかった6~12歳(平均9.3歳)8人のこどもの体験について、グランデッドセオリーを用いて、インタビューと参加観察により探求した。その結果、水分制限を受けなかったこどものストーリーライン(コアカテゴリー間の関係性)は、看護師に依頼して水を得るシステムであったため、こどもは遠慮から看護師に依頼できず、不足しても「おかわり」が言えず、[もらえない水]と口渇を我慢していた。また、飲水後の嘔吐や排尿の失敗等の苦痛体験から[危ない時は飲まない]と飲水を控え、口渇があっても好みの味や温度と異なる水分の摂取には[飲もうと思わない]と回避していた。このような過程を経ると、こどもは[口渇がわからない]と口渇の感覚が麻痺することを体験していた。以上の結果を基に、看護師へのフォーカスグループインタビューを行い、対策を検討し、次の心臓外科手術後に水分制限をうけるこどもへのケア指針が示唆された。 (1)医療者がこどもの飲水行動を管理する「治療としての飲水」ではなく、「生活としての飲水」に病院システムを調整する。 (2)水分制限がある子とない子が同じ場にいる前提から、「飲水制限を守る指導」から「適切に飲むケア」へと援助を転換する。 (3)医療者は脱水を予防するため、口渇のメカニズムを理解して早期発見し、こどもが適切に飲水できるよう促す。 今後この指針を臨床で使用し、実用化に向け検討したい。
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Research Products
(1 results)