2009 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄の歴史と文化に根ざした地域看護活動に関する研究
Project/Area Number |
20592629
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
宇座 美代子 University of the Ryukyus, 医学部, 教授 (00253956)
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Keywords | 地域・文化 / 沖縄 / 死生観 / 方言 / 看護援助 |
Research Abstract |
沖縄の伝統的な考えである死者儀礼ヌジファ(死者の魂を家に連れて帰る儀礼)や方言等に関連した看護援助の有無について無記名アンケート調査を行った。対象は沖縄県看護研究学会(平成21年1月開催)に参加した看護者350名で回収数は225名(回収率64.3%)であった。年齢未記入を除く217名を分析した。結果は女性86.6%、男性13.4%、平均年齢43.3歳であった。看護職平均経験年数17.8年、県外出身者10.1%であった。 1) 看護を展開する上で沖縄の方言に関連した困難を経験したことがある人は94名(43.5%)で、その割合は30代の県外出身者に多く、困難を経験した88名(93.4%)がその時の内容を複数記述していた。内容には「難聴と思っていたら方言で通じた」という記述がみられ、今後の課題が明らかになった。 2) ヌジファ等沖縄の伝統的な考えに関連した看護援助を経験したことのある人は106名(48.8%)であった。20~30代では経験者の割合が減っていた。また、経験した時の内容について98名(92.4%)が複数記述していた。その時の内容は「死亡退院時のヌジファには、他患者に気づかれないように」行うなど、患者・家族の意向に添えるように対応していた。「死亡退院時には7~8割がヌジファを行う」「ヌジファは沖縄的文化であり他患者に支障がない範囲で認めている」という記述があった。 3) これらのことから、看護継続教育では地域特有の方言教育の必要性が示唆された。また、沖縄の伝統的な考えに関連したヌジファ等には看護者は可能な限り対応していたが、このような地域文化を伝承する機会が減りつつあることが示唆された。地域文化を尊重した看護援助には基礎教育や継続教育における地域文化に関連した知識の伝達が重要であると考える。 上記調査以外に、沖縄の妊娠・出産・育児、ユイマールに関連した調査、保健師マインドの育成に関連した保健師のアイディンティ確立に関するインタビュー等の調査結果を看護科学学会等で発表した。
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Research Products
(7 results)