2010 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄の歴史と文化に根ざした地域看護活動に関する研究
Project/Area Number |
20592629
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
宇座 美代子 琉球大学, 医学部, 教授 (00253956)
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Keywords | 沖縄 / 地域文化 / 保健師 / 方言 / 看護援助 / アイデンティティ / 継続教育 |
Research Abstract |
学生実習指導経験のある中堅保健師27名に、沖縄の文化に関連した支援内容や保健師マインドの育成に関連した「保健師のアイディンティの確立」について、半構造的面接調査を行った。 保健師が支援した沖縄の文化等に関連した内容は、ユタ(霊的職能者)、ユイマール(助け合い)、方言、地域の行事、横のつながり、地域の力、後継ぎ、見守り、思いやり、信じる力、オトーリ(宮古島における飲酒方式の一つ)、民間療法(ニノ)、沖縄戦の後遺症、控え目、謙遜、なあなあ(なれあい)等、それぞれの長所・短所が語られた。このような地域文化に密着した事柄は、ケース支援や地域づくりに役立てていた。 また、「保健師のアイデンティティの確立」について、自分の言葉で「これが保健師の仕事だ」と語れる状態をアイデンティティが確立されたと捉え、インタビュー内容を分析した。保健師は、保健師であることの意味を模索しながら、個別支援や集団支援などで「継続的な支援が自分の自信に繋がる」経験を通して、「これが保健師の仕事だ」と自分の言葉で保健師について語ることができていた。この時期は保健師経験3~4年目で37.9%、6年目までに79.3%の保健師が「これが保健師の仕事だ」と語れる状態に至っていた。その要因には先輩保健師の存在があった。 今後、地域の歴史と文化に根ざした地域看護活動ができる保健師マインド育成プログラムの内容には、地域の方言や伝統文化に関連した知識や対応技術など、本研究で得られた成果が活用できると考える。プログラムは、保健師のアイデンティティが確立され始める保健師経験3~4年目に焦点を当て、自らの「変化」を振り返り「自信」に繋がる「経験」を表現する場を設定し、経験の質が高められるような関わりができる内容とする。このプログラムを通して保健師のアイデンティティの確立が図られ、それとともに保健師マインドの育成が可能になると考える。
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