2008 Fiscal Year Annual Research Report
野宿生活体験者の健康の意味に基づいたセルフケア行動を促進させるための看護援助
Project/Area Number |
20592637
|
Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
稲垣 絹代 Kobe City College of Nursing, 看護学部, 教授 (40309646)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 助教 (40351150)
島田 友子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (80196485)
鹿嶌 達哉 広島国際大学, 心理科学部, 准教授 (00284141)
|
Keywords | 野宿生活体験者 / ヘルスプロモーション / 主観的健康観 / セルフアドボカシー / 仲間づくり |
Research Abstract |
(1)野宿生活体験者の生活習慣(食行動、運動活動、睡眠、休養、アルコール、喫煙、保健行動など)や健康に対する意識や実態を把握するために、研究者で分担して、国内外の先行研究の文献検討を行った。米国の研究では、野宿生活者の健康問題は重大であり、無保険、公的扶助の欠落、ケアへのアクセスの少なさが主原因であるが、当事者の健康に対する認知が受動的であり、無気力感や失望感が強く、専門家の援助の意思が欠落希薄で、社会的支援の破綻が副原因として挙げられている。 (2)年末年始に、横浜、東京、名古屋、大阪で野宿生活者への支援活動をしている団体の健康相談に参加し、野宿生活者や元野宿生活の生活や健康実態を把握した。年末年始の時期に野外で生活せざるを得ない野宿生活者は多数存在し、薬の提供など援助の必要性は高かった。健康相談利用者の7割に循環器の症状があり、肥満やかくれ肥満が8割にある。生浩習慣病の可能性が高く、健康状況は劣悪である。大阪の「炊き出しの場」で行われた健康生活相談に集まる人々は,血圧測定を希望する人が多かった。自分が高血圧であることを自覚していて測定に来る人が多く,健康への関心はあるように感じた。また,以前に降圧剤を飲んでいる人も数名おり(現在は中止しでいる),「社会医療センターがはじまったら(年末年始は休業中)受診してみる」という人もいた。無料で受診できる医療機関があるか否かは,野宿者の健康への意識や保健行動に関係する。一方では,平常で最高血圧200mmHg以上ある人もおり「それが通常だから」と特に医療機関に受診するなど考えない人もいたため,意識変革できるような支援の必要性を感じた。しかしながら,健康維持・改善につながる直接的な保健行動はとっていない人であっても,自分自身の体の状態には関心があることがわかった。 (3)2月末にも、大阪で野宿生活者に、継続的に訪問活動を行う看護職者とともに、独自の健康相談活動を行った。今後とも継続して実施する予定である。以上の研究成果は、本年度、来年度の日本地域看護学会で発表予定である。
|
Research Products
(1 results)