2009 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者のrecoveryを促進する看護師の態度に関する研究
Project/Area Number |
20592678
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
桑名 行雄 Osaka Prefecture University, 看護学部, 教授 (90258848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
来栖 清美 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (10368813)
山口 知代 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (10405334)
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Keywords | 精神障がい者 / recovery / 精神科看護師 / 態度 / 当事者 / 前向き |
Research Abstract |
3ケ年計画である本研究の最終目的は、精神障がい者のrecoveryを促進させる看護師の態度モデルの構築(試案)を行うことにある。2年目となる平成21年度は、当事者の入院及び回復過程における体験から、看護師との関係によるrecoveryに影響を及ぼした事象の内容と当事者が感じた看護師の認識等を明らかにし、当事者のrecoveryに影響をあたえた項目を抽出することを目的とした。主な内容は以下のとおりである。 1. 近畿圏で地域活動支援センター等の事業を利用し、精神科での入院経験をもつ精神障がいのある当事者で、施設長からの紹介の上、同意を得られた女性7名、男性7名の計14名を対象とし、前年度のデーター収集・分析を参考に作成したインタビューガイドによる半構成的面接を行った。面接による当事者の語りを質的記述的に分析した結果、129のコードから、43のサブカテゴリーと13のカテゴリーを抽出した。さらに、13のカテゴリーを、前向きな気持ちにさせる看護師の態度と前向きな気持ちになるのを妨げる態度に分類した。前向きな気持ちにさせる看護師の態度は、当事者の希望を呼び起こす、或いは希望を生む出すことにつながっている一方、前向きな気持ちになるのを妨げる看護師の態度は、当事者が希望を生みだすことにほど遠いものといえた。 2. 海外におけるrecoveryの促進と阻害に影響する精神保健福祉の情報を得ることを目的に、イタリアのトリエステ等の精神保健福祉施設・病院の視察および看護師との意見交換を行った。当事者のrecoveryを促進させる看護師の態度として重要なことは、垂直的でなく水平的な関係性である一方、入院中心の療養環境では極めて困難を伴うという意見が交わされた。 以上の成果により、精神科の臨床における看護師の態度の重要性が明らかとなり、研究の最終目的である看護師の態度モデルの構築への示唆を得た。
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