2009 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域高齢者の抑うつ状態に対する栄養介入の効果
Project/Area Number |
20592697
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Research Institution | The University of Shimane Junior College |
Principal Investigator |
山下 一也 The University of Shimane Junior College, 看護学科, 教授 (30210412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 亥智江 島根県立大学短期大学部, 看護学科, 准教授 (70262780)
橋本 道男 島根大学, 医学部, 准教授 (70112133)
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Keywords | 高齢者 / 抑うつ状態 / 栄養 / n-3系多価不飽和脂肪酸 |
Research Abstract |
わが国は急速に高齢化が進み、最近、自殺率の増加やうつ病など高齢者の心の健康問題が課題となっている。高齢化率全国一の島根県では、自殺者が10年連続で年間200人を超え、10万人当たりの自殺者数を示す「自殺率」は全国ワースト3位であった(平成18年度)。高齢者の自殺例の背景を精神医学的に詳しく調べたところ、7-8割は抑うつ状態であったと考えられている。特に、中山間地域での自殺が指摘されている。高齢者の抑うつ状態の予防としては、うつ病に対する知識の啓蒙から、早期発見などの保健活動が行われているが、最近、「心の健康」を「食生活・栄養」方面から捉えようとする動きがある。本研究では、「食生活・栄養」と「心の健康」との関係についての縦断的な研究を行い、食生活よりうつ傾向の改善を行うものである。 本研究では、2008年9月に平田地区(海岸部)、川本地区(中山間地域)においてベースラインの基礎調査を行った。川本地区では、ツング自己評価式抑うつ尺度では平均37点であり、平田地区の32.5点より有意に高かった。また、食事面でも魚摂取が少ない人がいるのを確認した。このデータを元に2009年3月に、川本地区(三原、因原)において月1回の料理教室を開催のための公募を行った。料理教室の内容は、基本は魚(80-90g)1日1回とし、その他、総摂取カロリーを適切に指導する(日本人の食事摂取基準[2005年版]を参考)。全員のSDSの目標値は40点以下として、2009年4月より施行している。 対象者は33名であり、2009年度のツング自己評価式抑うつ尺度では平均36.6点であり、2010年度では36.7点と横ばいであった。2010年度も研究は継続し、今後はさらに良化群・不変群、悪化群に分けてさらに検討していく予定である。
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