2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝発生分化メカニズムに基づいた肝癌幹細胞特異的治療法の開発
Project/Area Number |
20599005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山下 太郎 Kanazawa University, 附属病院, 助教 (90377432)
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Keywords | 肝細胞癌 / 幹細胞 / 肝細胞分化シグナル / 抗癌剤抵抗性 / Wntシグナル |
Research Abstract |
発癌過程と胎形成過程においては、自律的な細胞増殖、細胞運動性、ダイナミックな形態変化、細胞の不均一性、微小環境との相互作用など多くの共通した現象が認められる。近年癌組織においても幹細胞様の性格を有する癌幹細胞の存在が明らかになりつつあり、癌治療の重要なターゲットと考えられている。これまでに我々は、肝細胞癌は幹細胞マーカーの発現状熊によって4つのサブタイプに分類できること、肝幹細胞様肝細胞癌は若年発症で門脈浸潤傾向が強く予後が不良であること、Wntシグナルの活性化が認められること、一部のEpCAM陽性細胞が癌幹細胞の特徴を有し抗がん剤抵抗性であること、などを見出してきた。平成20年度において我々は、治療として肝切除術が施行された5例の肝細胞癌組織から単細胞浮遊液を作成、癌幹細胞マーカーであるEpCAM,CD133,CD90の発現パターンをフローサイトメーターで評価した。興味深いことにEpCAM陽性細胞とCD90陽性細は各症例で3-20%程度存在していたが、EpCAM+CD90+細胞は認められなかった。またCD133陽性細胞は検討した5例では存在しなかった。遺伝子発現パターンでは、EpCAM陽性細胞では肝幹細胞マーカーであるAFP,CK19,Bmi1などの発現亢進が認められた。そこで我々はEpCAM、CD90陽性、陰性細胞を分離精製し、免疫不全マウスへの移植を行いその腫瘍形成能につき現在検討中である。さらにこれらの癌幹細胞に対する肝細胞分化誘導サイトカインの一つであるoncostatin Mの抗腫瘍効果につき現在検討している。今回の解析から、肝細胞癌における各幹細胞マーカー陽性細胞の比率はそれぞれの症例で異なり、かつその細胞生物学的な特性の違いについてはさらなる検討が必要であることが明らかとなった。
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Remarks |
基盤C
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