2010 Fiscal Year Annual Research Report
オンコスタチンM遺伝子治療による腸管の線維性癒着の克服
Project/Area Number |
20599019
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
濱田 哲宏 兵庫医科大学, 医学部, 研究生 (50419826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20227408)
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
鳥井 郁子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70207661)
佐藤 鮎子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20419823)
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Keywords | Oncostatin M / Gene thrapy / 炎症 |
Research Abstract |
腹部悪性腫瘍に対する放射線治療により、照射範囲に入る腸管は腸炎や線維化をおこし、下痢や吸収不良の原因となる。そのため、腹部悪性腫瘍の治療に際し、腸管の線維化に対する治療法の開発が必要である。 最近、研究代表者は肝障害モデルラットにオンコスタチンM(OSM)遺伝子治療を試み、OSMに抗炎症作用と抗線維化作用があることを見出した(Am J Pathol.171:872-881,2007)。本研究はOSMの生理作用に着目し、腸管線維化モデル動物の腸管にOSM遺伝子を導入し、腸管線維化へのOSM遺伝子治療の有用性を検証することを目的とする。 研究代表者は、ラットOSM発現ベクター(pEF-BOS with rat OSM cDNA)を作製し、これをHVJ-Envelope法を用いて封入した(HVJ-OSM)。また、pEF-BOSをHVJ-Eで封入し、対照に用いた(HVJ-Vector)。SDラットの放射線腸障害モデルを作製して、腸管にOSM遺伝子の導入を隔日で合計2回行った。放射線腸障害惹起3日後に、ラットを屠殺して、腸管を摘出した。続いて、腸管の病理組織標本を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色を行った。 H22年度、研究代表者は作製した病理組織標本を用いて腸管の炎症性変化および線維化の評価を行った。すると回腸末端においてOSM遺伝子導入群の放射線腸障害ラット腸管組織では、対照群と比べてクリプト長が有意に長いことが確認できた。さらにゴブレット数は多く、うっ血も改善傾向を認めた。また、RT-PCRにて同部のOSM蛋白濃度を測定すると、OSM遺伝子導入群の放射線腸障害ラット腸管組織では、対照群と比べて、高濃度の傾向があることが確認できた。 この研究の重要性は、腸管障害による腸管線維化および線維性癒着に対する新たな治療方法の開発へと繋がることである。
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