2010 Fiscal Year Annual Research Report
In vivoパッチクランプ法を用いた下行性痛覚抑制系可塑的変化の解析
Project/Area Number |
20602003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古江 秀昌 生理学研究所, 生体情報研究系, 准教授 (20304884)
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Keywords | 下行性痛覚抑制 / ノルアドレナリン / in vivoパッチクランプ / 青斑核 / 神経回路 / シナプス / ニューロン |
Research Abstract |
生体防衛システムの1つである、下部脳幹から脊髄への下行性痛覚抑制系の機序を明らかにするために、前年度(21年)の研究ではノルアドレナリンを介したin vivo脊髄における抑制性シナプス応答の増大がα1受容体を介することを明らかにした。本年度はさらに統合的な解析を進めるために、以下の研究を遂行した。 まず、記録電極に予めneurobiotinを加えておき、記録終了後に標本の固定を行って組織化学的解析を併せて行い、基盤となる神経回路の同定を行った。形態学的特徴からGABAなどを含有する抑制性介在ニューロンであるislet細胞、その他脊髄第II層、膠様質細胞において、抑制性シナプス応答の増大が観察された。また、小脳を一部除去した後、刺激電極を背側より青斑核へ定位に刺入・留置して青斑核刺激を行った。その結果、脊髄において抑制性シナプス応答が著明に増大した。更に、神経因性疼痛モデルとして坐骨神経を結紮したモデル動物を作製し、痛覚過敏の程度を解析した。後肢への機械的刺激に対する逃避行動の解析から、モデル動物にアロディニア(異痛症)が観察された。これらの動物から記録を行うと、ノルアドレナリンを介した抑制性シナプス応答が減弱する傾向が観察された。以上より、青斑核-脊髄への下行性抑制系の神経回路を同定し、その抑制能の減弱が痛覚過敏発症に寄与することが示唆された。これらの成果は神経因性疼痛など難治性疼痛の新たな治療薬の開発に貢献することが大いに期待された。
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Research Products
(21 results)