2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経ペプチドノシスタチン結合タンパク質による疼痛制御
Project/Area Number |
20602011
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
芦高 恵美子 大阪工業大学, 工学部, 教授 (50291802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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Keywords | ノシスタチン / 痛覚 / ノシスタチン結合タンパク質 / カルシウム透過性チャネル |
Research Abstract |
神経ペプチドノシスタチンは、神経因性疼痛に伴い発症するアロディニアや炎症性疼痛に対し抑制効果を示す。我々は、ノシスタチンの結合分子として、ノシスタチン結合タンパク質(NSP)を同定し、その遺伝子欠損マウスではノシスタチンのアロディニア抑制効果が消失することを見出した。本年度は、NSP遺伝子欠損マウスを用いNSPの生理機能と会合分子による制御機構に関する解析を行い以下の知見を得た。 1. NSPの生理機能:NSP遺伝子欠損マウスでは、炎症性疼痛モデルのホルマリン試験における痛覚過敏反応の亢進と、それに伴う脊髄におけるERKのリン酸化の増強が認められた。また、神経因性疼痛に伴うリン酸化やマイクログリアの活性化に対しても増強効果を示した。NSPは、炎症性疼痛や神経因性疼痛において、脊髄後角における中枢性感作に関与する分子であることが明らかになった。NSPは、脳や脊髄の他に肝臓および腎臓にも発現が認められた。NSP遺伝子欠損マウスにおいては、脂肪・下肢骨格筋の肥大化、肝細胞の縮小化などの末梢組織への影響が認められたことより、NSPが生体のエネルギー代謝の調節をも制御している可能性が示唆された。 2. NSPの分子制御機構:NSPは、Transient receptor potential V (TRPV)6と結合し、そのCa^<2+>流入を抑制した。一方、NSPはGタンパク質シグナル伝達調節因子RGS2と相互作用を示した。RGS2はTRPV6とも会合し、TRPV6のCa^<2+>流入を抑制する。NSP遺伝子欠損マウスより調製した脳シナプトゾーム画分において、TRPV6とRGS2の相互作用は消失したことより、NSPはTRPV6とRGS2と複合体を形成することにより、TRPV6のチャネル活性を調節していることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)