2008 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疼痛の診断・治療指標候補の一酸化窒素の神経可塑性変化における活性化機構
Project/Area Number |
20602012
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
阿部 哲也 Kansai Medical University, 医学部, 講師 (20411506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 講師 (70276393)
福永 幹彦 関西医科大学, 医学部, 准教授 (90257949)
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Keywords | 慢性疼痛 / 一酸化窒素 / 神経可塑性 / 脊髄 / 後根神経節 / グルタミン酸 / NMDA受容体 / マウス |
Research Abstract |
疼痛は、その持続期間の長さから急性疼痛と慢性疼痛に分けて考えることが出来る。その病態を形成する要因としては、身体の器質的要因、機能的要因、心理的要因の3つが挙げられる。慢性化するにつれて、その病態に心理的要因の占める割合が大きくなることが多くなるが、良好な治療を行うためには、器質的・機能的障害に心理社会的因子が関与した病態と考える心身症としての見立てが有効となってくるのであるが、そのためにも慢性疼痛患者の身体面での変化が解明される必要があり、これを研究目的としている。なかでも我々は一酸化窒素(NO)を指標候補として研究を遂行している。中枢神経系において、神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)の活性化はNMDA受容体の活性化と密接に関連しており、nNOSのシナプス下膜への移動はシナプスにおける効果的なNO生産の必要条件であることが示唆されている。我々は、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)とNMDAが相乗作用で膜への神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)の移動を引き起こして、PC12細胞でNO産生を増強することを明らかにしてきた。我々はnNOSのN末端に蛍光タンパク質(YFP)のタグを付けた変異体(nNOSNT-YFP)をPC12に発現させて、その移動を追跡した。PACAPは、濃度依存的にNMDAとの相乗作用で移動を増強した。その移動は、プロテインキナーゼA(PKA)、プロテインキナーゼC(PKC)とSrcキナーゼの抑制剤によってブロックされた。そして、PACAPの効果は、PKAとPKC活性化することにより観察された。PACAPがその受容体のPAC1を介してPKAとPKCを活性化することによりnNOS移動を引き起こしたことを明らかにした。
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