2008 Fiscal Year Annual Research Report
TRPチャネルを中心にした腰痛の疼痛機序解明に向けた細胞内痛みセンサーの解析
Project/Area Number |
20602019
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
横山 徹 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 助教 (80425321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 浩一郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70279347)
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
岡本 隆史 産業医科大学, 医学部, 非常勤助教 (60446119)
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Keywords | 疼痛 / TRP / チャネル / 鎮痛 / 脳神経 / 電気生理学 / カルシウム |
Research Abstract |
腰痛のメカニズム解析と治療を目的とし、中枢神経系と腰椎後根神経節(DRG)における痛み関連チャネル・受容体を検索するため、正常ラットにおける研究を今年度行った。 DRGにおいてTRPチャネルの他、サブスタンスP(Sub-P)受容体、mGluR受容体、ムスカリン受容体、GABA_B受容体、NMDA受容体、Na^+チャネル、オレキシン受容体の存在を、細胞内Ca^<2+>変動にて確認した。したがって、これらのチャネル等が痛覚に関与している可能性が考えられる。また、麻酔薬の効果を検討したところ、吸入麻酔薬がSub-P受容体を介した細胞内Ca^<2+>上昇を抑制する結果を得た。 パッチクランプ法を用いた中枢神経系およびDRGの検討においては、培養DRGにおいてカプサシン、AITCへの反応が認められ、TRPV1、TRPA1の存在が確認された。一方、中枢においては視床下部視索上核に存在するTRPV1はDRGと異なりカプサイシンに非感受性で高浸透圧感受性に関係していることを明らかにした。また、吸入麻酔薬ではGABA投与と同様の反応を見せ、麻酔薬が中枢神経系においても作用していることを明らかにした。視索上核のTRPV1の構造が変異していることから、変異によってカプサイシン感受性部位がなくなり、その結果、高浸透圧に感受性を持つようになったと考えられる。中枢神経系におけるTRPV1の働きについては浸透圧感受性が高いことから渇き関係する可能性が高く、痛みについてはあまり関係していないと考えられる。今後、腰痛モデルラット・マウスを使用し、パッチクランプ法などを用いて疼痛痛発生時の特有の反応が認められるか、また、TRPチャネルと他の痛み物質との関係、また麻酔薬・鎮痛薬との関係について検討を行っていく予定である。
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