2008 Fiscal Year Annual Research Report
日米中の自動車産業と国境を越えるリージョナル・ガバナンス
Project/Area Number |
20604005
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
貴家 勝宏 Tokai University, 教養学部, 准教授 (40439691)
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Keywords | 自動車産業 / 生産ネットワーク / 中国地方政府 / 日米中 / 直接投資 / 貿易 |
Research Abstract |
平成20年度は3年計画の初年度である。本研究は、グローバルなレベルにおける生産構造の転換過程において、企業と地方政府の国際経済秩序形成における役割の解明を目指すものであり、特に中国においては政治経済主体としての側面が強い自動車産業を、日米中のグローバルサプライチェーンと制度化の関連から検討するものである。初年度は、グローバル化する自動車産業の国際的な生産・流通のネットワークが中国でどのように展開されているのか、中国に進出した外資系自動車産業の動向の調査を中心に進めてきた。日本語・中国語・英語で発表されている文献資料を利用し、自動車産業のグローバル化と生産パターンの変化、競争優位の源泉としての企業間取引の円滑化や現地政府や地場企業との関係等、グローバル展開におけるネットワークの重要性を考察した。自動車関連産業の直接投資、地域別の投資動向や規模など、外資系企業の中国投資の推移と特徴を分析し、グローバル競争、経営資源の最適配置の中で、関税・非関税、税制、人件費、輸送コスト等、効率的生産ネットワークの構築が経営戦略に影響していることを明らかにした。事例としては、ドイツのVW、米国のGM、日本のトヨタトホンダの中国への進出過程を分析し、それぞれ異なる経営戦略に基づき中国へ進出していることを明らかにした。また構造的には脆弱性を抱えている中国の自動車産業発展してきた要因を分析し、外資系企業からの技術移転の重要性と国内外の生産ネットワークの連携が促進されたこと、また中央と地方政府の政策的支援、中国独特の外部委託型の特徴分析した。中でも、上海市と外資系メーカーの協力関係、日系自動車メーカーと広州市との協力関係は、グローバルサプライチェーンを日米中に広げ、自動車部品貿易にも変化を及ぼすようにまでなったことを明らかにした。これらの成果は、論文と日本国外での国際会議で発表された。
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