2010 Fiscal Year Annual Research Report
“生物学的等価性"に重点をおいた新規4'-セレノRNAの合成と性能・機能解析
Project/Area Number |
20611001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
南川 典昭 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40209820)
|
Keywords | ヌクレオシド / RNA / 4'-セレノRNA / 生物学的等価性 / セレン |
Research Abstract |
本研究では天然型RNAと"生物学的等価性"を維持し、且つヌクレアーゼ抵抗性や熱的安定性などの機能が付与された化学修飾核酸分子の創製とその機能評価を目的とする。具体的には、酸素原子と同族元素であるセレン原子を糖部4'位に導入した4'-セレノRNAの合成と性能の解析を行なう。平成22年度は、1;4'-セレノRNA合成のためのヌクレオシドユニットの改良合成法としてプリン体の合成を中心に検討した。その結果、1-アセトキシ体を経由したグリコシル化法によって所望の化合物を中程度の収率ではあるが得ることが出来た。2;これまでの検討結果から、4'-セレノRNAが申請者の予想に反して不安定であることが分かっている。年次計画通り、2'-OMe-4'-セレノリボヌクレオシドを合成し、2'-OMe-4'セレノRNAの合成を検討した。その結果、鎖長15mer中4残基、2'-OMe-4'-チオウリジンを導入した2'-OMe-4'セレノRNAを得ることに成功した。このものは、RNAに対して高い二本鎖形成能を示し、さらに50%ヒト血漿中、驚異的な安定性を示すことも明らかとなった。 そこでRNA干渉実験に用いる化学修飾siRNA分子の合成を試みたが、RNA鎖の分解が起こり、目的とするオリゴマーを得ることが出来なかった。4'セレノRNA合成と比較して2'-OMe体の縮合収率は大幅に向上したが通常のRNA合成との比較ではやはりその値は低い。このことからRNA合成のサイクルの間にオリゴマー鎖が切断されていることが示唆された。 本課題によって、4'-セレノRNAならびに2'-OMe-4'セレノRNAを合成した。このものは、高い二本鎖形成能とヌクレアーゼ抵抗性を示すことが明らかとなった。今後、RNAiを誘起する化学修飾siRNAとしての利用やSELEXによるアプタマー獲得としての利用に期待する。
|
Research Products
(15 results)