2008 Fiscal Year Annual Research Report
アントシアニンの合成化学を基盤とした花色発現機構のケミカルバイオロジー
Project/Area Number |
20611004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 久美 Nagoya University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (90210690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾山 公一 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 技術職員 (80402460)
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Keywords | アントシアニン / フラベノール / 生合成経路 / ロイコ体 / カテキン / アシル化アントシアニン / ルチン / シアニジン3-ルチノシド |
Research Abstract |
花色素アントシアニンは、高等植物の花、葉、果実などに分布して赤~紫~青色を呈す色素である。単なる着色料としてではなく抗酸化性、抗動脈硬化など種々の生理機能を持つ安全な天然食品添加物として大きな需要を持つ。また、太陽電池材料としても期待されている。しかし、活性発現機構についての研究等が盛んに研究されているにもかかわらず、その供給は天然に依存し、アントシアニンの合成研究は、20世紀初めの1)配糖化フラボノールの金属還元法と2)ビンソンらのアルドール縮合法がよく知られているが、現在にいたるまで、それ以外の方法などの報告も無く、進展がほとんどない。その上、高機能化の期待できるアシル化アントシアニンの合成は全く報告がない。本研究では、ルチンを用いて1)の金属による還元反応を精査した。その結果、本反応の中間体を単離構造決定することができ、亜鉛との反応と酸素との反応との両方が起きていることを明らかにすることができた。そして、実用上大変有用な反応条件を見出すことができた。即ち、ルチンを酸性条件下で亜鉛末を加えて反応させると、従来法では、20~30%程度の収率でしか目的のシアニジン3-ルチノシドが得られなかったが、本研究により、90%以上で得られるようになった。さらにその汎用性を酸の種類や溶媒を変えて実験した。また、ルチン以外の様々な配糖化フラボノールを用いても、ほぼ同様の高い収率で対応する配糖化アントシアニンを得られることが明らかになった。
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Research Products
(20 results)