2009 Fiscal Year Annual Research Report
ピアプロダクションに基づく知識資源コモンズによる図書館機能の実現可能性
Project/Area Number |
20650033
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石井 啓豊 University of Tsukuba, 大学院・図書館情報メディア研究科, 教授 (70232238)
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Keywords | 情報図書館学 / 知識資源 / コモンズ / ピアプロダクション / 図書館サービス |
Research Abstract |
本研究の目的は、図書館が担ってきた社会的共有のための知識資源基盤としての役割をネットワーク上で実現する知識資源コモンズに注目し、特に、ピアプロダクションに基づく知識資源コモンズと伝統的図書館の成立に関する組織論的、経済学的な理論枠組みを明らかにすることである。 平成21年当初に、現代の図書館サービスの役割と機能の展開の論理と普及・発展に関連した社会的、技術的要素を検討するために、全国の公共図書館(分館レベル。約2000館)が第二次世界大戦終了以降、どのような図書館サービスを展開してきたかに関する網羅的調査を実施した。平成21年度はこのデータの詳細な分析を行った結果、我が国の公共図書館における各種のサービスの普及の継時的変化を明らかにすることができた。サービスの普及曲線にはいわゆる成長曲線に相当するタイプと緩慢な普及を示すタイプが認められ、またサービスと地域により普及の程度には大きな差異が認められた。図書館サービス普及にはサービスの機能、技術依存の程度とともに、サービスを受容する利用者を含む社会的な要因と図書館の組織論的要因が関連しているものと予想された。22年度には特に組織論的な視点から個別事例の調査を加えることによって、サービス普及のモデルを構築する予定である。また、昨年度に引き続き、知識コモンズ、知識資源コモンズに関する文献調査と活動事例の調査を行うとともに、知識資源コモンズは現代の図書館発展とインターネット・情報技術を基礎とした社会的展開の中から生まれつつあるという視点から、図書館・書店等のインフラが充実している地域在住の住民でネットワーク利用を指向している約1,000名の人々が現実に知識資源としての図書・雑誌にいかにアクセスしており、どのような選択傾向を持つかについての調査を行った。この結果については、22年度に分析を行う予定である。
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