2008 Fiscal Year Annual Research Report
遅発性長寿命ラジカルは遺伝的不安定性・バイスタンダー効果の鍵物質になりうるか?
Project/Area Number |
20651013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
熊谷 純 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 准教授 (20303662)
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Keywords | 遅発性長寿命ラジカル / バイスタンダー効果 / 突然変異 / CHO細胞 / 電子スピン共鳴法 |
Research Abstract |
培地の入ったチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を植え込んでいるフラスコをγ線照射後(1 Gy)、培地のみを取り出して正常なCHO細胞を植え込んであるフラスコに移し、24時間後にその細胞を直接ESR観測し、遅発性長寿命ラジカル(SRLLRsの)挙動をESRで直接観測した。照射培地に24時間晒されたバイスタンダー用CHO細胞では、未照射培地中の場合と比較して平均20%SRLLRsの濃度が増加し、突然変異頻度は未照射培地の場合と比較して2倍に増加した。ドナー用細胞なしで培地のみを照射し、その照射培地をバイスタンダー用細胞に24時間晒してもSRLLRsは増加せず突然変異頻度も増加しなかった。従って、ドナー細胞の存在下で培地を照射すると、細胞よりバイスタンダー因子が分泌され、その因子を含む培地に晒されたバイスタンダー用の未照射細胞中に遅発性長寿命ラジカルが生成し、突然変異頻度が上がったと考えられる。 ドナー側の細胞に照射前2時間Myxothiazolで処理してドナー細胞のミトコンドリアの電子伝達を停めると、バイスタンダー用細胞側でラジカルは増加しなかった。このことは、バイスタンダー因子の放出において、ドナー細胞のミトコンドリアの活動が関与していることを示している。 バイスタンダー因子によって、遅発性長寿命ラジカルがバイスタンダー用細胞中に誘導されることを世界で初めて明確にした。
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Research Products
(6 results)