2009 Fiscal Year Annual Research Report
高感度マイクロセンサのためのマイクロ磁気冷凍機の開発
Project/Area Number |
20651036
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 秀治 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (00312611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 祐輔 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20451536)
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Keywords | 熱スイッチ / 磁気冷凍 / メタ磁性体 / MEMS / カーボンナノチ / 接触熱抵抗 |
Research Abstract |
高感度マイクロセンサのためのマイクロ磁気冷凍機は,熱伝導のON/OFFを切り替える熱スイッチ,メタ磁性体(La(Fe_xSi_<1-x>)13H_y),メタ磁性体の移動機構,および断熱構造で構成される。本研究では,新規開発が必要な断熱構造で支えられた熱スイッチを開発した。マイクロ磁気冷凍機の性能は,熱スイッチの性能,具体的には熱抵抗のOFF/ON比に大きく依存する。したがって,断熱構造によってOFF時の熱抵抗を上げ,同時に接触熱抵抗の低減によってON時の熱抵抗を下げることが必要である。断熱構造として,MEMS技術を用いて細く長い樹脂(パリレン)の梁で支えられた構造を作製した。接触熱抵抗の低減には,2つの物体を密着させる必要があるが,微視的には表面粗さによって物体の接触面積は限られる。昨年度は,接触する物体の一方を水銀にし,液体-固体接触によって接触熱抵抗を下げることを試みた。水銀をエレクトロウェッティングによって大きく動かすことに成功したが,絶縁された基板表面のチャージアップによって,その動きは再現性に欠くことが明らかになった。この成果は学術論文としてまとめた。今年度は,接触する物体の一方にカーボンナノチューブを絨毯上に成長させ,カーボンナノチューブの弾性変形によって2つの物体を密着させ,接触熱抵抗を下げることを試みた。断熱構造を有する熱スイッチの表面にカーボンナノチューブを成長させ,その接触熱抵抗を計測し,マイクロアクチュエータが発生する20kPaの接触圧で600mm^2K/Wという低い熱抵抗を実現した。この熱抵抗はカーボンナノチューブがないときのそれの1/10程度である。この結果によって,マイクロ磁気冷凍機の性能を見積り,冷凍が可能であることを確かめた。
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