2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20651038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
平塚 祐一 Japan Advanced Institute of Science and Technology, マテリアルサイエンス研究科, 講師 (10431818)
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Keywords | マイクロマシン / ナノバイオ / 分子モーター / 生体分子 / マイクロ・ナノデバイス |
Research Abstract |
本研究の目的は、モーター蛋白質の運動能を利用した魚類の色素細胞様の人工細胞を構築、生体分子で駆動する光学素子(ディスプレイ)を開発し、モーター蛋白質の応用研究の新展開を図ることである。 ある種の魚類では体表を周囲の環境に応じ保護色化する。これは体表に存在する色素細胞内の色素顆粒が分散または凝縮することにより変化が生じている。色素細胞内には繊維状蛋白質である微小管が細胞の中心から放射線状に配置化されており(アスター構造)、色素顆粒がモーター蛋白質により微小管に沿って細胞中心または細胞周辺に運搬されることで凝集または拡散が起こり、その結果、見かけ上、表面色が白または黒に変化する。本研究ではこのナノシステムを人工環境下に再構築し、モーター蛋白質で駆動する光学素子を開発する。 本年度は、本研究の中心課題である、微小管アスター構造のガラス基板上への再構築を行った。種々の条件を検討することにより、ガラス基板上に断片化した微小管を直径11μmのスポット状に固定し、その後NEM-tubulinとtubulinを臨界濃度以下で添加し重合をさせることで、微小管をプラス端からのみ伸長させ、スポットの中心がマイナス端、周囲がプラス端の微小管アスター構造を形成させることに成功させた。さらに、直径0.2ミクロンの蛍光性の微小ビーズにキネシンを物理吸着させ、そのキネシンビーズを上述の微小管アスター構造に添加し、微小管アスターにキネシンビーズ結合させることができた。さらに、ATPを添加することにより、マイクロビーズをアスター部の周辺に移動させることに成功することができた。これは本研究テーマである「モーター蛋白質で駆動する光学素子」の基本機構の作製に成功したといえる。次年度はこれをさらに発展させ、基板平面上の局所的領域のマイクロビーズを集合・拡散させることで、最終目的であるディスプレイ様の機構を作製する。
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