2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタ言語意識を基盤とする言語教育に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
20652043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大津 由紀雄 Keio University, 言語文化研究所, 教授 (80100410)
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Keywords | ことばへの気づき / 生成文法 / メタ言語意識 / 言語教育 |
Research Abstract |
これまで、「国語」教育と英語教育を連携させようとする試みは何度となくなされたが、いずれもきちんとした成果を上げ得なかった。その根本的原因は両者に共通する基盤が何であるかを明確にしないまま、作業を進めたことにある。本研究が提案するのは、言語の普遍性を考慮した上で、メタ言語意識(「ことばへの気づき」)を仲介として母語教育と外国語教育を統合した言語教育を実現させるという試みである。 本年度はそのための基礎作業を行った。具体的には、 (1)先行研究情報の整理 (2)言語教育の体系化のための基礎作業 (3)教材の開発 (4)授業実践 (5)教員養成プログラムの開発である。 これらの作業の基本にあるのは、生成文法を中心とする現代理論言語学の研究成果である。日本における従来の言語教育に関する議論では、この視点がほとんど欠如しており、それが日本の言語教育政策に悪影響を与えてきたことを明らかにした。さらに、その状況からの脱却について具体的提言をまとめるための基礎作業を行った。 また、現実の社会問題としての小学校英語、および、高等学校英語をめぐる諸問題について、上述の言語教育の視点から分析し、その成果を論文、単行本、新聞取材、講演などの形で、広く知ってもらえるよう努力した。 来年度はこれらの成果をもとに、作業を継続するとともに、できるだけ具体的な形での提言や教材・プログラム開発にあたる予定である。さらに、成果の社会への還元についてもより一層の努力をしたい。
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