2008 Fiscal Year Annual Research Report
なつかしさの起源を探る:認知心理学・脳科学的記憶研究からのアプローチ
Project/Area Number |
20653052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川口 潤 Nagoya University, 環境学研究科, 教授 (70152931)
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Keywords | なつかしさ / ノスタルジア / 記憶 / エピソード記憶 / 自伝的記憶 / ヒット商品 / 感情 |
Research Abstract |
人は,日常場面において,過去の体験を思い起こしたり、過去に流行したことがらと出会うと,単に過去の記憶を想起するだけでなく,「なつかしさ(ノスタルジア:nostalgia)」と言う言葉で表現できるような、単なる快感情・不快感情とは異なる,複雑な感情を伴った心的状態におちいることがある.本研究は,このようななつかしさ生起のメカニズムと機能を実験心理的手法および神経科学的手法を用いて明らかにしようとするものである.具体的には以下の点が検討課題であった. ・このような「なつかしさ」はどのような心的過程を経て生まれてくるのであろうか ・人が「なつかしさ」を感じるという仕組みにどのような認知的意味があるのであろうか ・記憶の機能が深く関わっていることは確かであるが,記憶の進化から考えて「なつかしさ」どのような働きをしているのであろうか. 本年度は,特になつかしさ(nostalgia)の心理学的定義および刺激作成を行った.一般に,つい最近の情報には「なつかしさ」を感じることはなく,ある程度の時間を経た情報を「なつかしく」感じる.そこで,過去10年間のヒット商品やヒット人物などを収集し,そのラベル提示あるいは画像提示によって,どの程度のなつかしさが生じるかを検討した.その結果,現在からの時間的距離が大きくなるほどとなつかしさの強度がつよくなるという結果が得られた.さらに,なつかしさ生起の時間的側面の実験的検討および神経科学実験の実施に向けて,より多くの刺激画像の選定を実施中である.
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