2008 Fiscal Year Annual Research Report
「移動」が不利にならない教育システム構築に関する研究
Project/Area Number |
20653063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
児島 明 Wako University, 現代人間学部, 准教授 (90366956)
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Keywords | ニューカマー / 移動 / 教育社会学 |
Research Abstract |
本年度の目的は、世界のグローバル化の進行にともなって増加し続ける人びとの「移動」の現実によりふさわしい教育研究や教育支援を可能にする「移動の教育社会学」を構想するための基礎作業を行うことであった。そこでまずは、関連諸領域における「移動」の概念と理論についての文献調査を進め、先行研究の成果と課題を明らかにした上で今後ニューカマー教育研究を発展させていくにあたって有効な概念や理論枠組みについて検討した。 ニューカマー教育研究ではこれまでニューカマーの人びとがもつ文化の異質性に日本の地域社会や学校がどのように向きあっているのか、あるいは逆に、日本の地域社会や学校をニューカマーの人びとはどのようなものとして経験しているのかといった観点から多くの調査や研究が積み重ねられてきた。これらの研究が異質なものを排除しがちな地域社会や学校の現状を浮かび上がらせたことの意義は大きい。 しかし、「移動」に関する文献調査から明らかになったのは、そうした一連のニューカマー教育研究が、ある一定の枠組みを暗黙の前提としていたことであった。それは、移動した人びとが一定の、それ自体は固定された場に住みつくという前提であり、同様の前提は多文化主義や多文化教育の議論の背後にもしばしば存在する。しかし、このような見方は相変わらず移動する当事者の経験を軽視、例外視するものであり、例えば日本の学校文化の閉鎖性を批判してその変革と唱えたとしても、移動を前提とした日常を送る子どもたちの現実にそくした教育システムの構想へとは結びつかないどころか、ナショナルな枠組みを強化し、さらなる排除を生みだす結果をもたらしかねない。 したがって、ニューカマーの移動の現実にそくした教育研究や教育支援を可能にしていくためには、まずは当事者の移動の実態および移動への意味づけのありようを明らかにすることが不可欠であり、それが次年度の課題となるだろう。
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Research Products
(1 results)