2008 Fiscal Year Annual Research Report
言葉によらない代数的思考メカニズムの発達障害についての実験的研究
Project/Area Number |
20653076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
正高 信男 Kyoto University, 霊長類研究所, 教授 (60192746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 南海子 (久保 南海子) 京都大学, こころの未来研究センター, 助教 (20379019)
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Keywords | 発達障害 / 数認知 / NIRS / 学習障害 / 自閉症 |
Research Abstract |
本年度はまず実験室を整備し、下記に示した実験の予備実験を行って手続きの修正等を経た後、主に健常な被験者を対象に実験を行った。心理実験の遂行にあたっては、いちばんはじめの+の印で、そこに注視するように依頼し、そののち、次から点が一面にばらまかれたスライドを見せた。与える教示は条件で異なる。第一番目の課題においては、被験者は、それらを見たのち、1枚目の点の数と2枚目の点の数を心の中のイメージとして足し、その和と3枚目の点の数のどちらが多いかの判断が求められた。他方、第二番目の課題では被験者は、3枚の点の図を見たのち1枚目の点の数から2枚目の点の数を心の中のイメージとして引き、その差と3枚目の点の数のどちらが多いかの判断が求められた。具体的な刺激呈示にあたっては、刺激はパーソナルコンピュータの画面上にパワーポイントによって実行された。被験者と画面との距離は60cmとした。おのおのの図に現れる点の数は9から63まで多様に変化させた。点の大きさは半径が0.2cm〜0.6cmの間で変動した。各回の呈示時間は0.2秒で一定にした。また準備する刺激のセットは難易度によって、4条件が設けられた。すでに上記から明らかなように、被験者の成績は比較を求められる2つの量の多寡の差異に大きく依存している。すなわち、一方の点の数が他方の点の数から圧倒的に多いと、正答を得ることは差が小さい場合より、はるかに容易となる。そこで双方の差異の程度をコントロールした上で、各々の回の点の絶対的な数を変化させた刺激を準備した。このような実験を謙譲な被験者20名を対象に行なったところ、4条件いずれにおいても、有意に高い正答率で課題を遂行できることが判明した。
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